yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

「TORAフェス」(「橘小寅丸祭り」改め)@御所羅い舞座12月15日昼の部

お芝居  『遊侠流れ笠』
以前に二回観て、ブログ記事にしているが、あらためておおまかな筋は7月、呉服座でみたものをそのまま使っている。

このタイトルから鑑みて、コテコテの「やくざもの」と思ったら大間違い。飛龍劇団では、「やくざもの」を連想させるお芝居のほとんどが、遊侠路線の包装紙でくるまれた、人情劇、もしくは爆笑喜劇になっている(と想像している)。このお芝居もその例外に漏れず。

筋はよくあるもの。親分(小寅丸)が次期親分にと目をかけた若い衆(順一)が凶状の旅に出る。しかしそれが気に喰わない代貸(京橋では春之介、今回は大輔)が一家を乗っ取り、しかも若い衆の女房(あさり)まで寝取ってしまう。数年経っても若い衆は帰ってこず、中風になって身体がきかなくなった親分は、今では元代貸に奴隷のようにこき使われるまでに落ちぶれている。最後にやっとその若い衆が帰って来て、女房と代貸を間男成敗ということで斬り殺し、親分を助け出す。

九州系劇団で何度もみたパターン。内容からは当然「悲劇」が想定されるだろう。苛められる親分と苛める代貸という構図で、最後はそこに割って入る若い衆(次期リーダー)がこの構図に終止符を打つというパターン。重点はこのイジメの場面に置かれていて、最後にカタルシスがくることで、観客をホッとさせる仕組み。

これもそのパターンをなぞっているのだけど、中身が大幅に差し替えられている。いわば換骨奪胎版で、悲劇というよりどちらかというと喜劇。なんとなれば、イジメの場面がドタバタになっていて、イジメがイジメとして機能していないから。こういうの大好き!九州系のお涙頂戴悲劇は御免こうむりたい。

旅に出る若い衆を鹿島順一さんが演じた。準主人公のこの役、古典的な所作で格の高さを示して秀逸だった。きちんと矩におさまった演技はさすが。随所随所で唸るところがあった。

主人公はイジメを受ける親分ということで、普段は座長の飛龍さんが演じるところ、この日は静養されていて、小寅丸さんが演じた。小寅丸さんの実力がいかにすごいかを魅せらつけられた。ホント、このかたスゴイ!喜劇を演じたら右にでるものはなし。飛龍さんの喜劇もすごいけど、小寅丸さんはそれとは違った提示の仕方をしてみせて、こちらもすごい。とくに間の取り方。唸った。イジメのシーン、苛められているのか、逆に苛める方に倍返しをしているのか、分からない。抱腹絶倒。お腹が捩れるほど笑った。

悪い代貸という損な役回りを大輔さんが演じた。憎々しかったけど、小寅丸さんの珍妙な演技にときどき吹いてしまっているのもご愛嬌。普段の仲の良さを窺わせる。

若い衆の女房も悪女で損な役回りだけど、あさりさんが演じきった。憎らしくて、上手かった。この美人さんが悪女とは、迫力ありますよ。

主人公は第二幕以降「大活躍」の親分。ということでもちろん小寅丸さん。もとは飛龍さんの持ち役だったこの役を、彼が演じるのをみるのは三回目だけど、みる度にグレードアップ。前日の『大阪情話』といい、抱腹絶倒喜劇を演らせたら敵う者なし。

旅に出る若い三下、半次郎役は春之介さん。こういう役は、まさにはまり役。後半のカッコいいいなせな兄さんもいいけれど、それ以上に他の子分たちに苛められる第一部がイイ。きっちりと「倍返し」しているところ、オカシイ。それでもやっぱり、優しい彼の人となりも立ち上がっている。

悪い代貸はいつも通り大輔さん。ワル役つづきでお気の毒。でもサマになっています。お人柄のよさも滲み出ていたりして、百パーセントワルといった感じではないところがいいんですよね。

客席を逃げ回る小寅丸親分。中風のはずが元気の良いこと。ちゃっかりと客席に座り込みます。ぴょんっと舞台に飛び上がって、大輔代貸に「中風なのに、おかしいやろ!」といわれていました。半次郎を裏切って代貸の女房に納まっているあさり悪女(!)が後ろを向いた隙に、思いっきり座布団を投げつけるところ(あさりさん、痛そうでした)、後ろをむいた大輔さんの背中を足蹴りするところ、抱腹絶倒喜劇の名に「恥じない」ぶっとびぶり。ここまでの体力を維持するの、大変でしょう。アドリブ部も多々あるはず。でも引き出しの多い小寅丸さん。なんでも受けて立ちます。ただ、ただスゴイのひとこと。

<舞踊ショー>
「TORAフェス」ということで、構成、演出ともに小寅丸副座長。彼の桁外れの才能が光ったもの。その斬新さで何歩も先を行っていた! 大阪や東京のど真ん中ではないところで、これが観れたのを喜ぶべきか。地元の年配のお客さんたち、おいてきぼりを喰らったのではとちょっと心配だったけど、周りを見回すと皆さん楽しそうにしておられた。

第三部は「企業秘密」的なところが多々あると思われるので、支障がないと思わるもののみ、写真でアップ。また、曲名、順序等間違いだらけかもしれない。どうかご容赦。

第一部
群舞  「男節]」

小寅丸  「千年逃亡」


大和   「無頼に生きて」


明日香  「二輪草」


春之介  「演歌なんか歌わない」




あさり  「大阪」


ラスト   「極楽ルムバ」

口上並びに前売り券販売
組長(番長)登場。

座長、春之介さん。芝居の半次郎の扮装で。ちょっと頭頂部が切れていて、すみません。

 
第三部
小寅丸さん中心に群舞  
[Bang Bang]、「it’s The Right Time」

小寅丸


大輔   「?」   

小寅丸・あさり・真央  「ペリー来航」
イキのいい若手二人(明日香・真央)と小寅丸氏。

鬘を取って。お茶目!

真央さん、楽しそう。上手い!

春之介  「夢見て候」

大和  「?」 

春之介  「木更津くずし」

小寅丸  「転がる石」
背に「橘小寅丸」と入った真っ赤なコートで。圧巻!

このあとメドレー。「夜桜挽歌」、「Liar! Liar」

鬘替え、コートを脱いで。素晴らしい扇さばき。  

眼鏡男子!

また着物、鬘替え。


 
群舞 「ズンドコ」、「Magician’s Operation」、「Tyantyakatyantyan」
小寅丸さん中心に。斬新!仮面をつけて。難しいダンスをみなさん頑張っておられた。一回のみ稽古できたものもあったよう。それだけでも私にとってみればまさに「神」!

終了後、みんなにいじられる(褒められる)小寅丸さん。