yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『め組の三次』劇団荒城@浅草木馬館9月19日昼の部

かねてから噂に聞いていたのに、関西に乗らないので観たことのなかった「劇団荒城」。やっと観れた。関西どころか、関東以西には乗っていない。関東圏では図抜けて人気劇団、しかも芝居がイイということだったので、ぜひ観たかった。「木馬なら『荒城』が乗ってるよ」と教えてもらって、絶好のタイミングだった。木馬館には毎年乗っているよう。

ただこの日、浅草ロックの「ゆめまち劇場」で舞踊劇、『ジャパネスク・ナイト』のチケットを取っていた。それが2時開演で、木馬館を2時少し前に出なくては間に合わない。仕方なく、劇団荒城観劇は第一部ショーとお芝居のみになった。残念だったけど、いちおう観れて良かった。関東で好まれる芝居、ショーと関西のそれらとがかなり違っていることを体験できた。

15分前に着いたのだけど、ほぼ満席。前から二列目の席が空いていたので、そこに座らせてもらった。木馬館のスタッフは浪速クラブのスタッフと一、二を競うくらい親切、しかもefficient。

まず第一部舞踊ショー。初めての役者さんたちなので、以下(芝居の配役も含めて)間違いあればご容赦。

真吾  「河内遊侠伝」
歌詞一部を「真吾」に入れ替えて。

和也  「泣き虫倶楽部」

蒼城莉也  「ほどほど酒」
「レイヤ」と読むそう。

姫川ゆうま  「じょんがらスペシャル」

姫川豊  ?

月太郎  「望郷祭り唄」

勘太郎  「天城越え」

蘭太郎  「ひとひらの花」

照師   「女の宿」

月之助  「あの子訪ねて」

群舞  「ロンリー・チャップリン」

相舞踊  真吾・勘太郎  ?

真吾さんの四人のお子さんたち、それも男の子ばかり。しかも、180cmをゆうに超える長身のお父さま似ののっぽ揃い。そこに真吾さんの弟の照師さんを入れるとまるで「巨人族」の見本市。あとの座員さんたち、みなさん背があっても、この巨人族に比べると「そこそこ長身」になってしまう。これにまず圧倒された。決して広いとはいえない木馬館の舞台、そこに巨人族が展開するショーも芝居も、その存在感だけで見応え有り!って感じになる。劇団飛龍は名うての硬派だけど、関東ではここがそれに当たるのかも。体育会系というべきか。それが新鮮だった。幕間に横をみると「荒城真吾さんへ 四代目市川猿之助より」と銘の入った褌が。猿之助さんは長身の男前がお好きなんですね。そして硬派が。

芝居、『め組の三次』

このお芝居が劇団の十八番というのがよく分かった。ラッキーだった。

芸者静香(和也)とその母のおくら(女優さんのお名前が分かりません)とが争っているところに行き会わせた火消し「め組」若頭、三次(真吾)、二人の仲裁をする。そこから過去に遡るのだけど、背景の黒幕を使っての(retrospective)演出法が面白かった。

二人の争いのモトは、静香が油問屋の若旦那、千太郎(莉也)に見初められたことに起因する。おくら宅にやって来た千太郎、おくらに静香を娶りたいと頼む。彼が帰ったあと、彼が落とした財布に気づいたおくら。中に大金が入っていたのをみて、ねこばばしようとする。戻って来た千太郎にも知らぬ存ぜぬを決め込む。挙げ句の果てにはねこばばを阻止しようとする静香を罵る。静香は自分の子ではなく、拾った子なので、親に反抗するのだと。そして静香を拾ったときに、彼女が身につけていたお守りを、拾い子の証拠として渡す。三次が行き会わせたのはその場だった。

三次のところに弟分の寛次(勘太郎)たちがやってきて、め組が付け火をした科で、火事奉行から免許を剥奪されることになったと告げる。怒る三次。奉行(照師)のもとに単身乗り込む。このときの二人のかけあいが可笑しかった。江戸の華といわれた火消しの気風のよさ、いなせさの化身(?)のような真吾さんに対し、年配でどこか頼りなげな年配の奉行役を、真吾さんの弟、照師さんがみごとに務められました。

結局、め組の縄張りを横取りしたい悪い火消し(ゆうま)の仕組んだ罠だったと判明、め組は免許取り消しにはならず、悪い火消しは処分を受けることになる。そして(都合良く?)静香が奉行が昔捨てた双子の一人だったと判り、静香と奉行とが親子名乗りをすることになる。静香は千太郎と父の祝福を受けて結ばれる。こちらもめでたし、めでたし。

このとき初めて知ったのが、犬公方(徳川綱吉)のとき、双子は忌み嫌われ、片方は殺される運命だったこと。ネットで調べたのだけど、該当する文献はなかった。そういや、綱吉時代に幡随院長兵衛の事件があったんですね。町奴の台頭。火消しも含めて江戸前の男振りを競う時代だったことを知った。こういう演目、やっぱり「江戸」でやらなきゃ、気分は出ませんよね。