yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)』七月大歌舞伎@歌舞伎座7月23日昼の部

芳流閣屋上の場と円塚山の場のみ。以下「歌舞伎美人」からの配役とみどころ。

<配役>
〈芳流閣屋上の場〉     
犬塚信乃 獅 童
犬飼現八 市川右近
   
〈円塚山の場〉       
犬山道節 梅 玉
犬飼現八 市川右近
犬川荘助 歌 昇
犬江親兵衛 巳之助
犬村角太郎 種之助
浜路 笑三郎
犬田小文吾 猿 弥
犬坂毛野 笑 也
網干左母二郎 松 江
犬塚信乃 獅 童

<みどころ>
運命に引き寄せられた八犬士たちの出会い
 安房国を治めていた里見家の息女伏姫は、愛犬八房と共に富山山中で暮らしていましたが、誤って家臣に銃で撃たれて絶命。すると八つの水晶の珠が空中に飛び散ります。
 この珠を持つ八犬士の一人で里見家再興を目指す犬塚信乃は、公方に献上した名刀村雨丸が偽物だというあらぬ罪を着せられます。追手の犬飼現八も実は八犬士なのですが、互いにそれとは知らず二人は芳流閣の大屋根で死闘を繰り広げます。
 行方知れずとなった村雨丸は、円塚山で犬山道節の手に渡り、引き寄せられるように八犬士たちが姿を現し…。
 曲亭馬琴の名作より、大立廻りやだんまりなど見せ場のあふれる舞台をご覧に入れます。

あの長い『八犬伝』をたった45分でみせるのは不可能。だからこれはあくまでも役者の顔見世という趣向だろう。今年4月に中日劇場でみた『新・八犬伝』とはまったく違った印象だった。あちらは通しだったのに対し、これは歌舞伎によくある、断片というか主要部のみを魅せるというやり方。でもこのやり方、初めてこの演目を観る人が戸惑うことまちがいなし。誤解を生じてしまうのではないだろうか。「ハイライト部のみを魅せます」程度の但し書きを付けてほしいと思った。

実験的な解釈、演出があった『新・八犬伝』と比べると平板な感じが否めなかった。まあ「顔見世」なんですから当然です。見せ場はなんといっても「円塚山の場」での大立ち廻りとだんまりだろう。一等席を取ったのも、近くでの巳之助の「雄姿」を確認したかったのだけど、ちょっと出ただけだったので、これにもがっかり。それでも声の良さと所作の美しさでは際立っていた。

笑三郎の浜路は最近の役よりもずっと若返って、美しく目の保養になった。犬川荘助は歌昇が演じたのだけど、久しぶりにみる歌昇と巳之助コンビ、ほっこりした気持ちになった。