曲目は以下。
ヘンデル(アスラマジャン編曲):パッサカリア ト短調
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番 作品11よりアンダンテ・カンタービレ
ミルゾヤン:弦楽四重奏曲ニ短調「主題と変奏」ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第11番 ヘ短調 作品122
コミタス(アスラマジャン編曲):弦楽四重奏のためのアルメニア民族音楽14の小品全曲アンコール3曲
チラシの裏表をアップしておく。
まったく予備知識なしで出かけたのだけど、すばらしかった。チケットを予約した際にアルメニアについてどれほど知っているのかと聞かれた。皆無に近かった。唯一の例外はアメリカ人作家/劇作家のウィリアム・サローヤンがアルメニア移民の子供だったことくらい。高校生のときに英語の授業で短編を2つ読まされたけど、あまり印象に残っていなかった。
ロケーションもなんとなくトルコに近いところ程度の知識。お恥ずかしい。今調べてみると、紆余曲折のそして過酷な歴史をもつことが分かった。古代には王国で、ペルシャとローマとの係争の種だったという。それからもいかに古い国かが分かる。Wikiには以下のようにあった。
黒海とカスピ海の間にある内陸国であり、西にトルコ、北にグルジア、東にアゼルバイジャン、南にイランとアゼルバイジャンの飛び地ナヒチェヴァン自治共和国に接する。1991年にソビエト連邦から独立した。
首都はエレバン、世界最古の都市の一つ。そして紀元301年にキリスト教を国教としたという。つまり最も古いキリスト教国の一つということになる。ローマ、ササン朝ペルシアに分割されてしまった後もキリスト教の信仰は衰えなかったとういことで、当時の情勢から考えると非常に珍しい。きっと敬虔なそして忍耐強い国民性なのだろうと想像がつく。
このカルテットの演奏者たちにもその気質がはっきりと読み取れた。シャイで奥ゆかしい。そして優しい。演奏もまさにそれがそのまま出ていた。アメリカ人のというかアングロサクソン系のアグレッシブさに曝されていると、こういう演奏や演奏者に出会うと、こころが和む。
独立前にはソ連邦の一部だったこともあってか、曲はロシアの作曲家のものが多かったけど、どこか西欧人の演奏とは違っていた。なんともいえない優しさに覆われていた。民族音楽の色合いが付いていた。
そのアルメニアの作曲家、コミタスの小品が、もっともいきいきと演奏されたのは当然だろう。優しいだけでなく、激しさ、内に秘めた情念も感じさせられた。
特産品はブランデーで、「アルメニア・コニャック」と呼ばれるのだとか。この「アルメニア・コニャック」が開演前に試飲できたよう。残念ながらしなかったけど。
帰る途々、一緒にいった友人と「アルメニアに行ってみたくなったね」と言い合った。