yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

MET ライブビューイング2011ー2012

メトロポリタン歌劇場の最新シーズンのオペラを録画したものが映画として上映されているのを知り、前からみたいと思っていたがなかなか機会がなかった。METも気のきいたビジネスを始めていたのですね。すでに何年にもなることが分かりました。もちろんオペラハウスでみるものには敵わないとしても、CDなどで聴くよりはるかに臨場感があるにちがいない。

日本では松竹がエージェントなので、歌舞伎公演の情報を得ようとして松竹のサイトに入ると、このビューイングが否が応でも目につく。というわけで、さっそく観に行くことにした。日本全国の松竹系の映画館で観れる。神戸ではシネズHAT神戸が上映館になっている。どうも地域によって上映するオペラが違っているようで、これだと神戸で見逃してもなんばパークスで観れる。HAT神戸の直近のものは11月19日から『ドン・ジョヴァンニ』で、25日まで。その次が『ジークフリート』で、これは12月2日までとなっている。

『ドン・ジョヴァンニ』もいいけれど、25日頃までに論文を仕上げなくてはならないし、3月のプラハでの発表の原稿の準備もあるので、『ジークフリート』を12月初めに観ることにした。ワーグナーを観るのは初めてである。ワーグナーのオペラはどれもやたらと長いので、体力がもつかどうか心配。『ジークフリート』はなんと約6時間の長丁場である。バイロイトまで出かけて行って鑑賞することを思えばどうってことはないのだけれど。そういえばいっときバイロイトは日本人に占拠されたなんていわれたこともあったっけ。たぶん今でも旅行代理店がツアーを組んでいると思う。

今発見したのだが、なんとMETで11月5日に録画したてのホヤホヤが観れるようである。男性主役が病気で降板、ジェイ・ハンター・モリスという歌手が代役をするということなので、早速ネット検索をかけたら、まだ若い人のようで、サンフランシスコで活躍していたとあった。成長株ということだろう。以前はオペラ歌手といえばヨーロッパ出身者が圧倒的に多かったが、最近はアメリカ人も増えてきたようである。もちろんアジア系も以前よりは名前を聞くようになった。以下公式サイトからの『ジークフリート』紹介映像。

芝居をNYやらロンドンに毎年のように観に行くようになる以前は、オペラを聴きにNYに行っていた。冬のシーズンを狙って行ったのだけれど、40ドルも出せばそこそこの席で観れた記憶がある。ヨーロッパのオペラハウスでオペラを聴いたことがないので比較はできないのだが、METの音響も悪くはなかった。それをその値段で聴けるなんていう僥倖!日本でチケットを買うと数万円を覚悟しなくてはならないから、数年間は毎年MET詣でをしていた。パバロッティもドミンゴもMETで聴いた。でもさすが世界の最高峰。席をとるのに苦労した。いちばん観たかったドミンゴの『椿姫』(ラ・トラヴィアータ)は席が取れなかったっけ。キリ・テ・カナワの『オテロ』も同様に席が取れなかった苦い思い出がある。でも、キャサリーン・バトルもジェシー・ノーマンもMETで聴いた。すばらしかった。

オペラをしばらく観なかった間に、新しい歌手が台頭しているのを知って愕然としている。この「METビューイング」の歌手、一人も知らない。だから今度みることで多少のキャッチアップができるかもしれない。

で、この際、ワーグナーを集中的にみてゆこうと考えている。ニーチェがあれほどにまでに心酔し(といっても後で訣別するのだが)、『悲劇の誕生』を書く契機となったワーグナーを知らないというのでは、ちょっと恥ずかしいから。バイロイトまで行ってまで聴きたいとは思わないけど、神戸や大阪あたりで「鑑賞のまねごと」ができるなら、こんなにありがたいことはない。『ジークフリート』はワーグナーの最高傑作、『ニーベルングの指環』の第二夜にあたる。その名前はアニメなどのキャラにも頻繁に使われているようである。

以下、この上映の公式サイトからの『ジークフリート』の解説である。

ジークムントとジークリンデの遺児ジークフリートは、世界を支配できる「指環」に呪いをかけたアルベリヒの弟、ミーメに育てられている。ミーメは彼に、大蛇に姿を変えた巨人ファーフナーが持っている指環を奪わせようとたくらんでいるのだ。ジークフリートは名剣ノートゥングを鍛え、大蛇を倒して指環を奪回し、ミーメも手にかける。「恐れるものがない」英雄ジークフリートが向かったのは、かつて自分の両親を救ったブリュンヒルデの眠る岩山だった・・・。
ワーグナー畢生の大作〈ニーベルングの指環〉第3弾は、英雄ジークフリートの成長物語。メルヘン風の道具立てが目を引く前半と、壮大に「愛」を歌い上げる後半と見所、聴き所満載だ。R.ルパージュ演出により、オペラに初めて導入される3D映像技術も見逃せない。運命の女性、ブリュンヒルデを目覚めさせて恋に落ちるラストは、〈指環〉唯一のハッピーエンド。ワーグナーの音楽が紡ぎ出すカタルシスに、思い切り浸りたい。