yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

四月文楽公演@国立文楽劇場『碁太平記白石噺』、『女殺油地獄』4月10日夜の部

演目は『碁太平記白石噺』、『女殺油地獄』でした。

長丁場で、特に、『碁太平記白石噺』は不覚にも途中居眠りをしてしまいました。あらすじは以下です。

 江戸にいる姉を頼って奥州から出て来た信夫(しのぶ)は、浅草で悪人に売り飛ばされそうになりますが、吉原の揚屋・大黒屋の亭主惣六に助けられ、吉原に連れて来られます。
 信夫の奥州訛りを廓の人々はからかいますが、同じ奥州の出の傾城・宮城野がこれを庇います。お互いの身の上を語り合う内に2人が実の姉妹であることが分かり、思いがけない再会を喜び合います。妹から父の非業の最期の様子を聞いて宮城野は仇討ちを決意します。話を聞いていた大黒屋の亭主惣六は、逸る気持ちの2人を曽我物語になぞらえて諭し、協力を約束します。惣六の意見に心打たれた2人は、周到な準備をした上で仇討ちをすることを改めて決意します。惣六は宮城野の年季証文と吉原大門の通行手形を与え、2人は敵討ちへと出発するのでした。 

「浅草雷門の段」の大夫は私の大好きな呂勢大夫さんで、今までよりもはるかに修行のあとが窺える語りで、さすが嶋大夫さんの直弟子さんだと思いました。なにか突き抜けた感じがしました。相変わらずカワイイ男前でした(カンケイないか)。すごい出世ですよね。いくつか賞をもらっておられるので、当然かもしれませんが。しばらくご無沙汰だった文楽、もっと通おうかと思います。

今日は友人と一緒だったのですが、ひとりの時も私の定位置は大夫の床のすぐ横です。これは武智鉄二さんの推奨する席です。大夫の息づかいがよく聞こえるのです。そして通の人以外はあまりとらない席でもあるので、比較的取りやすいのです。

この演目は何回か文楽でも歌舞伎でもみましたが、ほとんどが、「新吉原揚屋の段」のみの上演です。今日はこの切りを嶋大夫さんが語られました。相変わらずの嫋々とした「美声」で聞き惚れました。

そして今日のメイン演目、『女殺油地獄』。完全版の上演ですが、なんといっても「豊島屋油屋の段」がハイライトです。大夫は咲大夫さん、三味線は燕三さんでした。お二方とも円熟の域でした。大夫、三味線弾きともこの段は体力勝負ですが、それ以上に人形遣いの勘十郎さん(与兵衛)と和生さん(お吉)が大変だった思います。つるつるすべる油の中を組んず、縺れつ、のたうち回るのですから。劇場がシーンとしていました。

4ヶ月ぶりの文楽、楽しみました。