yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

英語解説の付いた「第34回文楽教室」@国立文楽劇場6月17日午後2時の部

ネット経由では良席が取れず、仕方なく外国人向けの公演にしたのだけど、思わぬ役得が。文楽劇場がこういう意欲的な試みをしていたとは!驚いたと同時に嬉しかった。名付けて、「Discover BUNRAKU」。以下がその内容。日本語のオリジナルを併記する。

  • Ninin Kamuro (Two Apprentice Geisha)  NOZAWA matsunosuke = Composition
  • The ABC of BUNRAKU (Explanation in ENGLISH)  KINOSHITA Yuichi = Scenario

 [Navigator] SHIGEYAMA Doji

  • Kanadehon Chushingura (The Vendetta by 47 Ronin)

二人禿 (ににんかむろ)  野澤 松之輔=作詞・作曲
解説 文楽へようこそ
仮名手本忠臣蔵 (かなでほんちゅうしんぐら)

この英語版の外国人対象の文楽紹介が素晴らしい内容だった。外国人に文楽のキモをわかってもらおうという、強い意気込みが感じられた。留学経験のある茂山童子さんの的確な英語での解説がとくに良かった!文楽の構成要素を 「太夫」、「三味線」、「人形遣い」に分け、それぞれの特徴を実際の演者に実演してもらうというもの。その際、童子さんが一般観客の抱く疑問を彼らに質問し、彼らがそれに答える。質問もその答えも具体的でわかりやすい。

上の英語版のところにKinoshita Yuichi=scenarioとあるのは、木ノ下歌舞伎の木ノ下さんのこと?帰り、ロビーにおられるのに気づいた。いい仕事しておられます!

まず、太夫と三味線。太夫は豊竹靖太夫さん、三味線を豊澤龍爾さん。お二人ともユーモアのセンスがおありなのが、実演中にわかった。声色、三味線の音調で男女の人物、その年齢をどう描出するか。20年以上も文楽を見て来ている私にも「初耳」のことも。「どんぐりころころ」を使っての実演は、外国人にも受けたと思う。三味線の龍爾さんのジョニー・デップシュワルツェネッガー等のハリウッドスターを援用しての説明は、とくに大受けだった。笑いの中に学びがいっぱい。ってな調子で、ノリノリのうちにお二人は退場。この際、黒衣が二人の座っていた台を移動させるのだけど、これも黒衣の役割をよく示していた。

代わって登場したのは人形遣いの吉田玉翔さんと二人の黒衣さんたち。玉翔さん、英語で自己紹介。なんと(自称)文楽界きっての男前とのこと。たしかに男前でしたよ。彼が主遣い、左遣い、足遣いと、三位一体の遣い方の解説をされた。こちらも非常にわかりやすく具体的。女性の人形と男性の人形、それぞれの違い、また遣うときの工夫の違いなども説明された。外国人の中から「へェー!」っていう感嘆の声が聞こえた。

玉翔さんもそうだったけど、太夫の靖太夫さん、三味線の龍爾も当世風のイケメン。若い人を惹きつけるのに、これ大事。今まで呂勢太夫さん以外にはそんなにイケメンはいないと思い込んでいたので(スミマセン)、目が開かれた!?文楽の世界に世代交代が起きているのはここ数年顕著である。それを何年か前にも記事に書いたけれど、その世代交代はせいぜいが5、60代の演者さんたちだった。今やもっと若い世代も台頭して来ているのだと認識した。しかもみなさんうまい!センスが若いので、同じ曲、演目でもどこか新鮮な感じがする。先々月だったか文楽劇場の舞台で、勘十郎さんと呂勢さんは素晴らしかったのだけど、全体に退屈で重く、文楽の刷新もここまでかなんて生意気なことを考えていた。どうしてどうして!

今回の「文楽教室」はチラシでもわかるように、同じ演目を四部に分けている。それぞれの演者はかぶらなようになっている。だから、今まで表に出てこなかった(これなかった)演者さんたちが前に出ることができているわけで、画期的な工夫。このやり方をこれからも採って欲しい。今回は昼夜で同プログラムだったけど、これを普段の公演に適用してもいいのでは?あるいは、プログラムが昼夜で替わっても、演者を一公演で何回か入れ替えるというように。そうすれば若手がもっと前に出てこれる。もちろん太夫、三味線、人形遣い、それぞれそうやすやすと極められるものではなく、長い修行がいるだろうけど、それを差し引いても、若手を前に出すことで、彼らも勉強になるし、われわれ観客も色々な演じ方を楽しむことができると思う。変化は必至。若い観客を増やしたければ、またリピーターを増やしたいならば、こういう工夫は必要。

いつも舞台上部に出ている日本語字幕が、この部は英語になっていた。ここまで新しいことをやってのけたのは、歌舞伎でも能でもなく、文楽だったとは。感激だった。

余計なことながら、英語の演目一覧で“ Two Apprentice Geisha”となっているのは“Two Courtesan Apprentices”ですよね。また、“Explanation in ENGLISH”は、“A Guide in ENGLISH”の方がいいのでは。