yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

坂東三津五郎 in テレビ版「さむらい松五郎」(『鬼平犯科帳』)

先日テレビ版の『鬼平犯科帳』シリーズ2を買い込んだので、池波正太郎著のものと併行して観ている。松竹、東宝の協力、フジテレビの放映だったようである。もちろん主役は中村吉右衛門で、妻の久栄や腹心の同心たちのキャストはレギュラーになっているが、鬼平が解決する事件関係者のキャストは毎回替わっている。原作をほぼ踏襲はしているが、ときどき思い切ったプロットの変更もある。原作の方がより面白いと思うことが多いけど、テレビ版もなかなか凝った作りになっていると感心することも数は少ないがあるにはある。

そのひとつが、「さむらい松五郎」だった。なにしろ事件関係者として登場する役者が涎が出そうなひとばかり。この作品では坂東八十助、香川照之。八十助はここでは事件の中心人物に据えられている。鬼平の部下ではあるがあまりうだつの上がらない同心、山口某役である。それが「さむらい松五郎」という盗賊にあまりにも似ているということで、見も知らない男(松五郎の昔の盗賊仲間)から松五郎に間違えられるというのが、事件の発端である。この男は昔松五郎と同じ盗賊親分に仕えていたのだ。原作では松五郎に間違えられるのは山口某ではなく、鬼平腹心の切れ者、小柳(これを演じたのが香川照之)ということになっていた。

初めのころのシーンで鬼平の吉右衛門、にせ松五郎の八十助、そして香川照之がこの取り違え事件にどう対処するか話し合いをする場面では、その顔ぶれのあまりの「豪華さ」に唖然。ホントにまるで現在の歌舞伎界を先取っていたかのようだから。

吉右衛門と八十助のかけあいも、単に同じ番組作りをしているというのを超えた、親密感とでもいうべき雰囲気がただよっていた。八十助はこのあと松五郎役も演じていて、一人二役の演じ分けもしなくてはならず、大変だったと思われる。八十助はその辺を無理なく演じて、まったく危なげはなかった。私は八十助がすきで、今の歌舞伎での出番が少ないのが残念だとおもっているのだが、これほどの逸材をもっと「活用」しない手はないでしょう。

10月21日には東京の国立劇場で三津五郎主演の『塩原多助』をみることになっている。楽しみ!