yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

オペラ「ジークフリート」METライブビューイング8月19日@東劇

去年のブログにも書いている。大阪の映画館にゆくつもりが、残念ながらその折には見逃した。今度東京滞在を二泊にしたのは歌舞伎を観るためだけではなくこのビューイングをみるためでもあった。以下が公開された映像の一部。


この映像にあるジークフリートをしたモリスが素晴らしかった。予定されていたテナーが二人も辞退。それで彼にチャンスが回ってきたのだという。何しろ5時間を超える長丁場。しかもほとんど出ずっぱり。歌唱力はもちろんだが体力と集中力が、それも超人的なそれが必要とされる。まさに17歳の英雄、ジークフリートそのままの。このビューイングがある意味現地でみるより値打ちものだと感じた理由の一つが幕間を使ってのインタビューだったのだが、中でもモリスへのものが興味深かった。まるで少年のように生き生きと舞台を楽しんでいるのが伝わるものだった。プロのオペラ歌手というより素人のような好奇心と、この大役を純粋に受け入れ「なりきって」いるのがわかった。なんども「Paris, Texas」出身だというのがインタビュアーと彼自身の口から出てきた。あのヴェンダースの映画のタイトルにもなったテキサスのパリですよ。なーんにもない、殺伐とした辺境の地。そこの出身だとは!Wikiで調べたら、そこのバプテスト教会の聖歌隊で歌っていたとか。オペラ歌手としては異例に遅い、しかもあまり恵まれていたとはいえないキャリアで、最近になってやっとサンフランシスコでこのジークフリート役を演じたというのだ。

彼の特徴はなんといってもその目の澄み切った美しさ。もうすぐ50歳になろうとする彼だけれど、これだけの目の純真さがあるから17歳のジークフリートをしても違和感がないのだ。歌唱力に関しては私が今までに聴いたどのテナーよりも表現力が豊かだった。単にきれいな声というだけでない何かイノセントな者のみのもつ力が感じられた。だからこそMETの観客がスタンディングオベーションで彼を讃えたのだ。

もっともっと報告したいことはあるのだが、iPadは使いづらい。帰宅してからセットのすごさ等の件を改めて書きたい。

歌舞伎は昨日の「亀治郎の会さよなら公演」と「八月花形歌舞伎」の海老蔵の「伊達の十役」(これも素晴らしかった)を宝塚に帰ってからブログ記事にするつもりである