yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2012

そういえば去年も実況中継をテレビの前で観ていたのだった。このブログにも書いた。記事を書いたころは、3月にあの震災のことは夢想だにしなかった。この一年は日本にとって悲劇的なできごとが多く、よい一年とはいえなかった。来年の元旦に一年を思い返したとき、少しでも明るい一年であって欲しい。

ウィーン楽友協会からのライブなので、曲の合間に建物内部のきらびやかなインテリアの様が映し出される。天井の絵画、シャンデリアの壮麗さは、ちょっと筆舌につくし難い。モダンなホールがどう頑張ってみても、かなわない。ウィーンに2週間ばかり滞在した折、建物の外は一巡したけれど、中はみていない。一度でいいからこのコンサートに参加したいなと思いながら観ていると、日本人がけっこう観客席に見受けられた。去年よりもずっと数が多かったように思う。観光客もいたのかもしれないが、それよりもウィーン在住の、たとえば音楽家やその卵もいたのではないだろうか。もちろん小沢が芸術監督をしていた頃はもっと日本人が多かったのだろうけれど。

今年の指揮はマリス・ヤンソンスさん。ロシア出身だそうである。選曲にロシア関係のものがけっこうあったのはそのためだろう。ちょっと長くなるけれど、以下に曲目を貼付ける。

ポルカ“雷鳴と電光”」
(指揮)カルロス・クライバー、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「祖国行進曲」
(指揮)マリス・ヤンソンス、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「ワルツ“市庁舎舞踏会でのダンス”」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「ポルカ“あれか、これか”」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「トリッチ・トラッチ・ポルカ」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、(合唱)ウィーン少年合唱団
「ワルツ“ウィーンの市民”」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「アルビオン・ポルカ」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「ポルカ“騎手”」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「悪魔の踊り」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「ポルカ“芸術家のあいさつ”」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「ワルツ“人生を楽しめ”」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「シュペール・ギャロップ」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「コペンハーゲン蒸気機関車のギャロップ」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「鍛冶屋のポルカ」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、(合唱)ウィーン少年合唱団
「カドリーユ“カルメン”」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「バレエ音楽“眠りの森の美女”からパノラマ」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「バレエ音楽“眠りの森の美女”からワルツ」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「ピチカート・ポルカ」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「ペルシャ行進曲」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「ポルカ“燃える恋”」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「ワルツ“うわごと”」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「ポルカ“雷鳴と電光”」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「チック・タック・ポルカ」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「ワルツ“美しく青きドナウ”」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
「ラデツキー行進曲」
(指揮)マリス・ヤンソンス、(管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ご覧の通り、圧倒的にシュトラウス父子のワルツ、ポルカが多いのだけれど、これはウィーンという土地柄から当然だといえる。また今年は14年ぶりとかでウィーン少年合唱団が2曲に参加した。これもご当地ならではである。

私がもっとも感激したのは、「ポルカ“燃える恋”」だった。バレエの挿入が入った構成になっていて、なんでも新しくウィーン国立バレエの芸術監督に就任したマニュエル・ルグリ(この人は世界一といわれるパリ・オペラ座のエトワールを23年務めた)の監督のもと、新しい演出になっていた(これは解説者の長野由紀さんの受け売り)。この「燃える恋」のバレエは男女一組の舞踊で、なんとクリムトの「接吻」の前で踊るのである。しかも「接吻」に描かれた衣裳、化粧もそのままに。ダンサーの官能的な舞踊がクリムトの絵から抜け出して来たようで、ぞくぞくした。ダンサーの二人もすばらしかった。技術的にももちろんだけれど、それ以上に演じている役柄の中に自身を投入し、情熱的に演じていた。でもこれは踊り手が優れていたというだけではなく、演出家の演出が並外れていたために違いない。ちなみにクリムトの傑作「接吻」は現在はベルヴェデーレ宮殿オーストリア絵画館(オーストリア・ギャラリー)に収蔵されている。ウィーンに行ったときにみたけれど、身体が震えるほど感動した。

アンコール曲の「美しく青きドナウ」もラストの「ラデツキー行進曲」もいかにもウィーンらしくて楽しめた。

以下がその画像である。おそらくだれもが一度はどこかでみたはずである。

このガウンを纏った男女がこの絵の前に立ち、ガウンを捨てて二人で踊り始めたとき、なんとも妖しげな雰囲気の官能の世界がそこに広がった。