滞在の最後の日、国立博物館に行きました。朝から本降りでしかも気温が冬に戻って寒く、行く途中で何度もやめようかとも思ったのですが、「次回は永遠にないかもしれない」と思い直して、行ってきました。
アメリカのナチュラルヒストリーミュージアムとの違いは、プラハのものは10歳くらいの子供にでも分かりやすいように工夫がなされている点でした。道理で観客の半数は小学生、そして乳母車に乗った赤ちゃんを含む幼児でした。私自身も童心に還ったつもりになって、「勉強」してきました。
いちばんおもしろかったのは、なんといっても「人類の歴史」でした。英語の表示、解説が少なかったので正確ではないかもしれませんが、これだけの展示資料を集めるのは並大抵の苦労ではなかったようです。ご存知のようにチェコの歴史は民族自立の闘いの歴史ですから、「自国」として獲得できたものに限界があったのは頷けます。解説をよみながら、日本人が経験しなかった他国による占領の歴史を持つ国の苦しみを思いました。なによりも、どこにそのアイデンティティを求めるのかに苦渋した民族の困難を感じました。
でもさすが神聖ローマ帝国の名残は随所にみられました。博物館を入ってすぐのホールのすばらしさは、筆舌に尽くしがたい(チンプないいまわしですが)ものでした。今までに見たことのない壮麗さでした。
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その後、雨足がひどくなってきたのと寒さとに悩まされながら(しかもトロリーを乗り間違えて散々な目にあいながら)、決死の(?!)思いで近代美術館にいってきました。これは予想を遥かに超えてよいコレクションでした。とくに前衛美術は優れた収集でした。フィラデルフィアの美術館に匹敵していました。もちろんバジェットの違いがあるので、いわゆる「有名」な作品は少なかったのですが、キュレーターのセンスが光っていました。私が初めて見た作家のものもけっこうあり、つい時間をかけてみてしまい、気づいたら閉館時間でした。
チェコ現代美術を代表する作家といえばミッシャ(ムハ)でしょうが、彼だけでなくチェコの現代美術はフランスやイタリア等のヨーロッパのものとはどこか違っていました。スラブ的な感性が感じられました。もう一日あればもっとゆっくりと浸れたのにと残念です。