yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

P・D・ジェイムズの「推理小説」

私がいちばんすきな推理ドラマが"Law and Order" だとすると、私がもっとも好きな推理小説はP.D.ジェイムズのものである。

英国は推理ものの伝統のある国である。世界中に「輸出」している立派なジャンルである。日本語にもかなりが翻訳されていて、私が読んだことのある作家となると、アーサー・コナン・ドイルを筆頭に大御所のアガサ・クリスティ、F・W・クロフツ、P・D・ジェイムズ、チェスタートン、レイモンド・チャンドラー、セシル・デイ=ルイス、コリン・デクスター、ジョン・ル・カレ、ルース・レンデル等が挙げられる。

小さい頃から推理小説が好きで、小・中・高・大とよく読んだ。コナン・ドイルのものはほとんど読んだし、アガサ・クリスティのものもかなり読んだ。でも「これが推理小説?」と衝撃を受けたのはなんといってもP・D・ジェイムズだった。作品で最初に読んだのが処女作の『女には向かない職業』(An Unsuitable Job for a Woman)の翻訳だったのだけど、探偵・推理小説の域を遥かに超え出た作品だった。

大学を出たばかりのコーデリア・グレイが主人公。見習いをしていた探偵事務所の所長が自殺したことで事務所を引きつぐ羽目になるところから話がスタートする。舞台はケンブリッジ。最初の依頼人は著名な化学者で、ケンブリッジの学生だった息子マークの自殺を不審に思い、その動機を調査して欲しいというものだった。調査をして行くうちに自殺ではなく他殺であったと断定するコーデリア。自分には向いていないと自覚し悪戦苦闘しながらも、ダルグリッシュ警視という強力なサポーターを得て事件を解決する。

ちなみにダルグリッシュ警視は、P・D・ジェイムズの小説のなかで主人公として一つのシリーズを形成している。でもダルグリッシュものよりも、私はコーデリアが主人公の小説の方が好きだけど。

この小説の何がすごいかっていって、そのペダンティックなところがすごい!シェイクスピアをはじめとしてイギリス文学の「古典」からのアナロジーが満載であり、それが分かれば面白さ倍増という仕組みになっている。ある意味「英国的いらやしさ」に満ちているので、そのい「いやらしさ」を楽しむことができないと、読む進むのが苦痛になるかもしれない。英国のものは普通の小説でもこういう推理ものでも、そして!芝居でもそういう「癖」というか「臭み」があって、その個性が大好きじゃないと親しむのはちょっと苦しいかもしれない。でもそれが好きだと、はまってしまうんですよね。