行動観察
日経のモーニングサテライトで興味深い特集があった。それは行動観察をビジネスに取り入れるというものだった。途中から集中してみたので曖昧なところがあるかもしれないが、大阪ガスが取り組んでいるプロジェクトで、駅の表示、またスーパー銭湯での効果的な表示の改善への援用が紹介されていた。
大阪の地下鉄、地下街で表示を見ているのにまちがった場所に行ってしまうことが続いていたので、その原因がやっと分かった気がした。人間の行動を観察して、どこに最初に視線が注がれるか、もっとも注意を惹くのはどの場所なのか、といったことをほとんど計算せずに表示の設計がなされている結果、紛らわしい標識、表示が出ているのだろう。これで困った人は多くいるはずなのに、改善されないのはなぜかと不思議だった。地下鉄といえば、アメリカの大都市(ニューヨーク、サンフランシスコ、フィラデルフィア、シカゴ、アトランタ、ボストン等)の地下鉄で迷った経験はほとんどない。また車の場合、高速で迷ったこともあまりない。日本の標識はまぎらわしいことが多く、とっさの判断をしなくてはならないのに、どうにかならないものかとずっと思ってきた。欧米ではインテル等の企業がもう10年も前から取り入れているのだそうな。道理で紛らわしい表示が少ないわけである。
大阪ガスのプロジェクトは人間の行動をじっくりと観察するという「単純」なことだけれと、実際に使うとおどろくべき効果を発揮している。吹田市の「おゆば」という銭湯を例に紹介されていた。
株式取引にもこれはあてはまるかもしれない。Fidelity Investment で在籍中(1977−1990)に受け持つ投信で毎年30%近いリターンを稼いだというPeter Lynch さんの One Up on Wall Streetにもそれに類した話が載っていたのを思い出した。どういうものがヒットするのかを推測するのに、彼の常套手段は大きなモールにでベンチに腰掛け、そこでどういう人がどういう店に入っていくかを観察するというものだった。それから私も街に買い物に行くときは必ず人の観察をするようになった。次のヒット商品が読めることもあるけど、それよりもダメになってしまう店が分かるようになった。人間が人間を観察するのだから観察者の主観が入って「誤差」がでることもあるだろうけど、母数をそろえて統計的に分析すればかなりの確率であたることも多いように思う。