yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

神楽式能「翁」& 能「葵上」in 第九回 大阪天満宮梅まつり勧進御能@大阪天満宮本殿2月26日

以下が当日の演者。

神楽式「翁」
• シテ:小寺一郎
• 笛:赤井啓三
• 小鼓:大倉源次郎
地謡:上野雄三 ほか

解説  伊原昇

能「葵上」
• シテ:上野朝義
• ツレ:上野朝彦
• ワキ:福王知登
• ワキツレ:喜多雅人
• 間:善竹隆司
• 笛 :赤井啓三
• 小鼓:大倉源次郎
• 大鼓:上野義雄
• 太鼓:上田慎也
• 後見:長山耕三
地謡:上野雄三 ほか

大阪天満宮に行くのも初めて、本殿に入るのも初めてだった。神への奉納としての能をできる限り多く体験したいと思っているので、これは願ってもない機会だった。本殿の内部はとにかく豪華だった。もっと簡素だと想像してたので、ちょっと驚いたけど。菅原道真公を祀るということなので、ヤオロズの神とは違った祀り方なのかもしれない。

まず禰宜(神官)の柳野等氏の祈祷があった。その後演能へと続いたのだけど、そこでなぜ「神楽式」と銘打っているのかの理由が判った。演者は神を祀った祭壇を正面にして演じる。つまり見る者に背を向けて演じるのである。「翁」はこの1月3日に八坂神社での新年奉納能で見ている。このときのシテは金剛流の当主、金剛永謹氏が務めた。この日のシテの小寺一郎氏は観世流。なんと御歳90歳を超えておられるとか。

「翁」そのもの。きちんと舞われたけれど、永勤氏の「翁」より若干短かったかも。これが観世流の「翁」?面を舞台上で着けるというのが、この演目の特色ということだけど、この日もそうだった。私はギリギリに本殿に到着したので、出入り口の横席しか席が取れず、そのため演者が出入りする足元を見つめる仕儀となった。段差のある敷居が2箇所あり、ちょっとヒヤヒヤした。面を付けて出てくるシテには特に気を揉んだ。何事もなく、無事終了で、ホッとした。

印象的だったのは、小鼓の音と掛け声。大倉源次郎氏は去年、観世会館での教員向けのワークショップの講師でおられた。小鼓の宗家と後で聞いて、なるほどと納得した。あの声と鼓の音が霊を、神を招来するんですよね。感動的なあの響。あとで蘇ってくるのは、舞よりもあの声と音だった。その伴奏(?)の鋭い笛の音も。

「葵上」はそのワークショップでも見た演目だけど、同じ観世流でも演者が変わると違って見えるのだと、妙に感心した。この日の天満宮の本殿のものは、能舞台ではなく本殿全体を使うので、かなり広いスペースを使うことになる。前に見た二つの「葵上」より、シテ、ワキの動線が長かった。というか交差するムーブメントがいくつかあって、驚いた。実際のバトルを見ている感じ。「葵上」の舞はかなりの体力勝負なんだと判る。ワークショップで見たシテ(味方圓氏)とワキ(安田登氏)はお二人とも40代前後(?)とお若く、絡みがもっともダイナミックで、圧巻だった。素晴らしい一級品の舞台だった!もう一度見たい。

小鼓はやっぱり大倉源次郎氏。聞き惚れた。囃子方は、能の音の流れを創出しながら、そこに切り込みを入れるというか、点を打つというか、そういう働きをしているのだと理解した。

終わる頃には、寒さで身体が自分のものでないようになっていた。それでもこの日の本殿はおそらく百人近い人が入っていた。チケットもsold out。こういう機会が極めて珍しいからだろう。