yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『人斬り以蔵』劇団花吹雪@梅田呉服座11月5日夜の部

構成がよく出来たお芝居。「花吹雪」の芝居は危なげがない。下手な(というか過剰な)感情移入がないので、大衆演劇っぽくなく都会的。さらっとした諄くない「悲劇」に、あざとくない笑いを加味しているところは、まさに上方。重くないんだけど、要所、要所ではきちんと締めている。あらためて、大衆演劇の王道を行っている劇団だと感じた。王道と言っても過去のそれではなく、今の時世に則したもの。若い観客が多いのも納得できる。今夜の観客は大半が30、40代と思われる女性たち。以前の観客と入れ替わりがあったのでは?今夜の方がはるかに上品。梅田の土地柄を反映してか勤め帰りの人が多い印象。(大衆演劇につきものの)ある種のファンが激減。快適だった。あのnotoriousな「送り出し」も緩和している?速攻で退出したので「確認」はできていないけど。

一応配役を以下に。

岡田以蔵:京之介
おみつ:あゆみ
武市半平太:春之丞
田中新兵衛:愛之介
井上佐市郎:梁太郎
坂本竜馬:春之丞
勝海舟酒井健之助(ゲスト)
以蔵のもと後輩:伍代つかさ(ゲスト)

有名な話のようで、ネット検索をかけると情報が収集できる。京之介座長がご自分のブログに今月の演目一覧を載せておられる。何年か前に劇団花吹雪のお芝居はけっこう観ているが、『人斬り以蔵』は観たことのないものだった。来た甲斐があった。さすが京之介さん、この気配り!

そのご本人が主人公の以蔵を熱演。剣術に秀で、「人斬り以蔵」と異名をとった幕末、土佐勤王党の志士、岡田以蔵。「天誅」と称し、尊王攘夷派の弾圧に関与した者たちを次々と暗殺。しかし捕えられ、最期は打ち首、獄門。ばかみたいに思い込みが激しく、でもそれだけに純粋な男。半平太に対する忠誠心は異常なほどに篤い。問題は彼に他の志士たちのような国家レベルでのビジョンを描く知力、洞察力が足らないこと。こういう男なので、彼の幼なじみのおみつは放っておけない。なんとか人斬りを、そして侍をやめさせようとする。

最も良かったのはおみつ絶命のシーン。以蔵を疎ましく、また「危険」と感じていた半平太、以蔵の同輩に以蔵毒殺を命じる。毒薬の入った酒とは知らず、半平太の「心遣い」を喜ぶ以蔵。そこにおみつが他の男に嫁ぐ決心をしたと告げにきた。以蔵への思いを断ち切れないおみつは、三三九度の真似ごとをしようと提案。毒入りの酒を前にしての息詰る緊張感。このサスペンスに満ちたシーンを、下手な思い入れをしないで演じた京之介さんとあゆみさん。良かったです。とくにあゆみさん。あの幼い感じのお嬢さんがこんなに成長されたんですね。

まずおみつが杯を空ける。それから以蔵も。ほどなくおみつは断末魔の苦悶。以蔵も血を吐く。それで初めて以蔵は謀られたことを知る。おみつの死骸を前にし、泣き叫ぶ以蔵。このシーン、タブロー(一幅の絵)のように場が暗転。そのあと幕となるのだけど、これは西洋演劇の手法。効果的に使われていて感心した。「以蔵最期の場」にもその手法が適用されていた。構成の仕方、場面設定、照明等、大衆演劇というより、「小劇場演劇」の手法に近かった。

ゲストのお二人、それぞれが熱演。酒井健之助さんは今月いっぱい、伍代つかささんは1日〜10日と26日〜29日。つかささん、しばらく観ない間に腕を挙げられていた。

ゲストといえば、明日6日には恋川純弥さん、9日、10日と26日、27日は伍代孝雄さん、12日は恋川心哉さん、20日は津川鶫汀さんがゲストとのこと。

<舞踊ショー>
踊り手と曲名のみをアップする。誤りあれば、なにとぞご容赦。

第一部
群舞  「酒ちょうだい」

京之介  「演歌なんか歌えない」

健之助  「母恋鴉」

かおり  「夢の糸」

春之丞  「地上の星
ブルーの着物で。美しかった!

放射状に光を放つ照明が何台か。効果をあげていた。

第三部

群舞  「清水よいとこ」

京之介 女形 「赤とんぼ」
赤銅色の着物で。

春之丞 女形  「福寿草
濃グリーンの着物に錦糸の織り込まれた赤い帯で。さすが日舞をやってこられた踊り手だと、納得。

健之助 女形  「ヤンザラエ」

京誉  「渡世」

春之丞・健之助 「たまゆら

京之介・かおり・つかさ  「桜の花の散る如く」

愛之介  「舟歌
切れがめっぽうよい立ち舞踊。彼の舞踊には以前はあまり「色気」を感じなかったのに、この舞踊には清潔な色気が溢れていた。

梁太郎  「北斗星

寿美 歌  「夢芝居」

京之介  「酔って候」

春之丞  「貝殻節」
この舞踊だけでも来た甲斐があった。凛々しく、美しい。切なくて、哀しい。ずしんと胸に迫るのに、空気のような軽さを纏っている。

健之助  「羅生門

つかさ  「人生すごろく」

ラスト  「ジパングの風」