yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『へちまの花』浪花劇団(近江新之介座長)@梅南座4月15日昼の部

午前中、宅急便の来るのが予想より遅かったためと道に迷ったこともあり、お芝居に少し遅れて到着。浪花劇団はずっと以前、OS劇場で初めて観た。めだかさんが並外れて芝居上手なのに感心、また座長、新之介さんの一生懸命さにも感動した。その後2013年に一度観ている。そして、この2月、朝日劇場に乗った折に4回ばかり観た。以前と大幅に違っていた。一番の変化は鹿島順一劇団におられた蛇々丸さんと花道あきらさんが移籍されていたこと。それと若手が4人増えていたこと。

蛇々丸さんの上手さは承知していた。というのも2010年1月、箕面観光ホテルに乗った鹿島順一劇団を観ていたから。芝居通と思われるある方のブログで鹿島順一劇団が絶賛されていたので、どんな劇団かを確かめたかった。3日間立て続けにみた。そのときの狂言の一つが『上州土産百両首』だった。正太郎を蛇々丸さん、牙次郎は当時虎順さん(現三代目鹿島順一)だった。大衆演劇、歌舞伎でこの狂言は観てきたけど、この鹿島版が最も印象的だった。ワキを固める役者さんたちも手練だった。でも私には二代目鹿島順一さん(現甲斐文太)の芸が古いように感じられた。今思えば私の鑑賞力不足だったのだろう。昔の旅芝居のそれも古典的なもの、もっとも上質なものを残しているのが彼だったのだと、今にして思う。もっと観ておかなかったのが悔やまれる。彼が育てた蛇々丸さんとその同輩、そして今は近江飛竜劇団に所属している三代目鹿島順一さんを、そして藤千之丞さんをみれば、それがよく分かる。彼らに共通しているのは古典的な芸風。それも九州系劇団のように単に「泥臭く古い」というのではなく、昔の旅芝居独自の古さが古典の域に洗練されていること。それは心の古層とでもいうべきところを掘り返すもの。日本人の心の琴線に触れずにはおかないもの。そしてそれは歌舞伎にも通じるもの。

<お芝居>
今日のお芝居、『へちまの花』はいろんな劇団で観てきた。今日のはその中でもピカイチ。梅南座はお世辞にも芝居向きの小屋とはいえない。舞台は極端に狭く、花道も細くてないがごとし。でもそこで私のように強面(!)の観客をも泣かせてしまう芝居をされたんですからね。立役者はめだかさん。とにかく上手い。座長新之介さんとの掛け合いもみごと。もちろん新之介さんも文句なしに上手い。それとオカシさの演出がいかにも大阪。あらすじは他劇団のものとほぼ同じ。一応以下に。

丹波篠山のお米(めだか)が兄(新之介)と一緒に絵描きの新三郎(蛇々丸)を訪ねて京都にやって来る。新三郎と結婚するためである。というのも、一年前、篠山に伯父とともにやって来た新三郎が彼女の黒髪に魅せられ、絵のモデルになってくれと言い、その折に新三郎が結婚約束をしたため、彼女は許嫁のつもりでやって訪ねて来たのだ。

ところが京都の新三郎宅では彼女は歓迎されざる客。新三郎の伯父は新三郎が労咳だと嘘をつく。それがお米には効かないと分かると、今度は新三郎が5両の借金を抱えているという。借金とりの腹切仁左衛門勘太郎)登場。これはもちろん仕組んだ茶番。ここでの勘太郎さん、がんばっておられました。「つらね」も堂に入って、芸歴2年とは思えない上手さ。間に挟んだ幕間狂言もサマになっていた。一座の予想に反し、お米は借金もすべて自分が払うという。その心優しさに感動した仁左衛門、これが茶番だったとばらす。

開き直った新三郎の伯父(龍子)、初手から「身分違い」の縁談だから、まにうけるのがおかしいと言う。さらに新三郎の絵の師匠の娘で彼の許嫁なる美しい娘(しめじ)が登場。このお嬢さんを演ったしめじさんも上手い。この方もまだ2年程らしい。故郷の人の手前もあるので、せめて少しの間、この家においてくれと頼むお米をはねつける伯父。怒り心頭の兄が出て来て伯父と新三郎をなじる。それをお米にたしなめられる。

新三郎もお米の一途さと優しさ、その心の美しさに思うところがあり、お嬢さんとの縁談を破談にして、彼女と結婚すると申し出る。蛇々丸さんのべたべた感のない演技、これ「型」でみせているんですよね。鹿島流とでもいうべきもの。しかし、お米は新三郎の申し出を断る。兄と二人して生きて行くと宣言し、丹波に帰って行く。ここでのめだかさんの台詞に泣かされます。そして新之介さんの台詞にも泣かされます。阿吽の呼吸。観客数が少ないのが残念。こんないいお芝居なのに。

<舞踊ショー>
新之介座長と若手4人ががんばっていた。以下曲目を。間違いあればご容赦。

若手四人 全員立ちで 「旅姿三人男」

しめじ  立ち  「むつみ丸」

新之助  女形  「細雪
黒着物 に紫のコートが映えていた。

勘太郎  立ち  「北の五番町」
音符模様の入った黄着物 で。

勘太郎 しめじ  「毎度おおきに」

新之介  女形  「淡雪の恋」
豪華な刺繍の入った白地着物で。

めだか  立ち  「下町ちゅんちゅく」
可愛くて、軽やかで、この曲そのもの。

蛇々丸  立ち  「こころ」
黒い着物にゴールドの渋い帯で。渋い抑えた色気。唸るほど上手い!

新之助  立ち  「恋の酒」
こちらも黒着物で。粋だった。

あつし 勘太郎  「三流ロマン」

新之介  立ち  「無頼に生きて」

龍子  歌    「長崎の夜は紫」

明日の外題は「清水次郎長外伝の内人生花舞台」

2月にみたときに感心したのが、若手が「清潔」なこと。しめじさん、成馬さん(女性)は京都造形芸術大学の卒業生。大学時代から演芸に興味を持ち、活動されていたという。勘太郎さんは介護施設で働いていたのを、芝居の世界へ。あつしさんはまだ18歳の青年。4人ともいわゆる「大衆演劇の役者」っぽくない。これが魅力。しめじさん、成馬さん、勘太郎さんは他の世界を知っているから、将来強力な戦力になること間違いなしだと思う。