yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

「ブロークバック・マウンテン』(Brokeback Mountain)がベストセラーとは!

Kindle に入っているのは三島由紀夫の『金閣寺』の英語訳のみなので、通勤途中に読むのにe-bookをみてみた。ベストセラーの5つ星が付いたものから順番にみていたら、Brokeback Mountain がトップリストにはいっているのを発見。驚いた!映画が出てからすでに5年経っているのに、この小説がベストセラーとは。もちろん、私は本自体もDVDも持っている。

映画が劇場公開されたのが2005年12月だったのだけど、ゲイの恋愛を扱っているので、最初はゲイフォビアの多いアメリカでは上演する劇場を探すのが大変だった。小都市や田舎は保守的なのでもちろんダメなことが多かったけど、大都市でも上演は物議を醸した。西海岸は問題なかったし、フィラデルフィアも大丈夫だった。12月終りから1月にかけての冬休み、丁度フィラデルフィアに居合わせたので、 Ritz映画館でさっそくみた。Ritzはフィラデルフィア市内に5箇所の系列館があり、それぞれがシネコンになっていてどの館でもいわゆるアート系の映画を上演していた。

初回はそれほど感動はしなかったのだけど、2回目以降はまってしまった。毎日Ritz Five館で2回は観て、それが Ritz East館に移っても毎日通って観た。そのあと2月に春休みにまたフィラデルフィアに舞い戻った折にもしつこくみつづけて、合計20回観た。その上日本でも1回劇場で観たので、トータルで21回ということになる。台詞はほとんど覚えてしまった。小説そのものもアメリカで買って帰った。

DVDはアメリカのアマゾンに予約を入れて、発売と同時に送ってもらった。映画館でもあれほど見たのだけれど家でも何回となく観ていた。

原作はAnnie Proulxという女性小説家。映画の監督は台湾出身の監督、Ang Lee だった。この小説を読んだ映画の脚本家(上の本のしたに明記されている人二人)がどういう経緯で監督を探し、映画化にこぎつけたのかというのは、映画台本の付録に詳しく書かれている。これもなかなか面白かった。

Rotten Tomatoes等の映画関係のありとあらゆるサイト、そして新聞雑誌の映画評欄をあつめたインターネットのサイトで映画評を読んだ。だいたい好意的だった。確かシカゴの新聞の映画評がとびぬけて分析的で、その上で映画のラストシーンをみると、より胸に迫った。

ベニス映画祭を初めとする国際映画祭で賞をとり、アメリカ国内でも批評家賞をとった。でもアカデミー賞作品賞は逃した。これはやっぱりゲイ映画だったからだと思う。

インターネットでファンクラブのようなものができて、舞台となったワイオミングに集まるなんていう広告が出たので、私が行くことを検討していたら、親友のアメリカ人(彼女もゲイ)が"You are crazy!"とあきれる始末だった。

主演の一人、Ennis を演じたHeath Ledgerが三年後の2008年に悲劇的な死を遂げてしまったこともベストセラー入りに一役かっているのだろうか。つれあいは彼が好きで、わざわざ彼の写真をプリントアウトして冷蔵庫に貼り付けてくれた。私も研究室の壁に、彼ともう一人の主演、Jake Gyllenhaal の写真を何枚か貼っていた(今ははずしてしまったけど)。今でもこの映画のサウンドトラックを小耳にすると、二人の悲しいシーンを思いだし、胸キュンである。

アメリカ人みんながそうすぐにゲイに対して寛容にはなるとは考えにくいのだけれど、あの頃と比べると幾分か雰囲気は変わってきたのかもしれない。ゲイの友人が何人かアメリカにいるので、そうだったらいいのだけど。