過激に力強く美しい。今までに見た『鵺』とは趣が異なっていた。林宗一郎師のサイトよりチラシを拝借する。 鵺という「異形」への畏敬と愛惜の念が謡いあげられ、舞い納められた。シテを演じられた林宗一郎師の切々とした想いが見ている者に迫ってくる、そん…
昭和49年(1974年)の国立劇場での録画。文楽陣が竹本の代わりをしていた。以下、演者一覧。 本蔵妻戸無瀬 = 中村歌右衛門(6代目) 本蔵娘小浪 = 中村松江(5代目) 奴吉平 = 中村東蔵(6代目) 馬子 = 坂東三津三郎(初代) 旅人夫 = 澤村由次郎(5代目) 旅人 = 竹…
若手がうち揃った清新な舞台だった。「銕仙会」の能楽事典に、「夏も終わりが近づき、涼しい風が吹きはじめる頃。清く澄んだ御手洗川の流れは、暑い日ざしの中にあって、爽やかで涼しげな風情をたたえている。稔りの秋は、すぐそこまで近づいている…」という…
通しとはいえ3時間という限られた時間内に収めるのに、大筋が分かる場のみに集約されていた。最後の三幕目と大詰のみ、脚本に忠実だったようで、それもあってか、この二幕が他の幕を圧倒していた。他の幕はあらすじをなぞっただけの感じ。以下に公演チラシ…
片山九郎右衛門師のシテは、さすがの見応えだった。ワクワクした。 先月に湊川神社で見た『善界』には、実際のところかなり退屈してしまった。後場になって初めてワキが登場する演出が特徴の『善界』。意表をつかれるけれど、それによってサスペンスが増すと…
大正天皇の即位式のために創られた『大典』を、故片山幽雪師が今の時代にあった『平安』に改作されたのだという。非常に美しい詞章で、しかもテーマが今の時代を生きる私たちとその平安を祈念、また寿ぐ内容になっている。 先に引用させていただいた日経デジ…
友人からとても良かったと伝え聞いた今年の「平安神宮薪能」、2年前に初めて参加した折、あまりにもの混雑と暑さだったので去年、今年は断念していた。録画をみて、かなり後悔している。 以下にチラシの表裏を。 画面からもすばらしい薪能だったのが伝わって…
壺齋散人さんの「日本語と日本文化 能について」というブログに、この演目の詳しい内容が載っている。リンクしておく。 以下が演者。 太郎冠者 茂山忠三郎 主人 山口耕道 すっぱ 丸石やすし 後見 増田浩紀 主人から預かった太刀を寝ている間にすっぱに抜き取…
前場からすでにドラマチック。糸車を繰る時の老女の穏やかさが、「閨を見るな!」と言い置く時には尋常ならない厳しさになる。この穏と激との対比を、橋本光史師はくっきりと際立たされて、秀逸だった。 後場は今までに見た『安達原』中、最もヴィジュアルだ…
勝部延和師、地謡方に入っておられるのは2回拝見(拝聴)したのだけれど、シテとして演じられるのを見るのは初めて。勁い謡で、しかも聴いている者の心に響く繊細さが滲み出ていた。普通の観世流のものとはちょっと違うような気がした。後で井上裕久師のお…