先日アメリカ人の同僚とお芝居を観に行った際、アメリカの食べ物で何が恋いしいか （“What kind of American food do you miss?”）と聴かれた。すぐに応えられなかった。というのも、あまり “miss” するものがないから。逆に向こうにいるときは、日本の食べ物が恋しかった。外食するにしても、手軽な値段でそれ以上のお値打ちの質の高い和食、中華、イタリアン、フレンチなんてのは、食べれなかったから。こういうのは日本に限る。
日本の食材にしても、コリアン・マーケットやチャイニーズ・スーパーマーケット等に行けばある程度はそろえるられたが、質は余り良くないものが多かった。チャイニーズ・スーパーマーケットなどは、賞味期限切れの食材を平気で売っていた。こんなことを気にするのは、日本人だけなのかもしれない。だから、手に入らない日本の食材は本当に恋しかった。ニューヨークのヤオハンまで、買いに行こうかと考えたこともある。
で、翻って、今アメリカの食べ物で恋しいものは何か。聴いてきた彼女には、「パスタソース、オリーブ、そしてビスケット」と答えておいた。パスタソースもオリーブも選ぶのに困るほど多種類あったから。パスタソースで私の好きだったブランドはポール・ニューマンの出していたもの。何種類かを揃えておいていた。
このブランド、今のところ、成城石井にもイカリにも売っていないようだ（彼女もそういっていた）。ビスケットはPillsbury Farmの冷凍、pop-up缶入りのもの。缶を開けるとドウが飛び出してきて、そのままオーブンで焼けば、ほかほかのビスケットが完成するという、便利、手軽なもの。インターネットで検索したら出てきた！"Frozen Biscuits"by Pillsbury。写真は以下。
彼女も小さい頃からよく食べたとのことだった。これは油脂分が多く、どちらかというとジャンクフードにあたるのかもしれない。南部料理は大抵そうなんだけど。これもまだ日本ではみたことがない。上記の食べ物、どれも廉価だった。
元ハウスメイトだったモルモン教信者のカップルがグラントを得て日本へ留学した際、元ハウスメイトの女の子にアメリカのチョコレートケーキの素を送ってくれと依頼してきたそうな。頼まれた女の子、20箱を日本へ送ったという。この手のケーキの素、アメリカのスーパーに行けば多種類揃っている。アメリカ人の大好きなマフィンも、大抵はマフィンの素をベークしただけのことが多い。「ホームメード」といって出されても、この「素」を使っているように思う。こういう「素」には手を出す気がしなかった。でも件のモルモン教の元ハウスメイト、こういうものを売っていない日本は「遅れている」と宣うたそうだ。それを聴いて、別の（グルメの）元ハウスメイトと笑い合ったものである。あんなの、日本では絶対に売れない。まずいし、添加物マミレだから。でもPillsburyもこの手の素を出していたんだっけ。
というわけで、余り懐かしい食べ物はない。でも向こうへ行って食べたいものが一つある。それは、ペンシルバニア大学横のチャイニーズレストラン「北京」の「茄子とチキンの炒め物」。食べ終わった後には、皿に油の汁がたっぷりと残るほど油を多用した料理だけど、おいしいんですよね。フィラデルフィアに舞い戻ったらいつも真っ先に食べている。
店の外観。
店の内部。店内から通りを挟んで向かいが大学キャンパス。
