yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

ミッシャ・マイスキー、チェロコンサート@兵庫県立芸術文化センター、KOBELCOホール10月7日

来日前に演奏を一緒にするはずだったバイオリニストの奥様が肩のけがで来日できなくなったので、曲目が変更になった。ブラームスピアノ三重奏曲がバッハの無伴奏チェロ曲とチェロソナタに差し替えられた。マイスキーさんの画像。

最終的には以下の曲目になった。
J.S.バッハ: 無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV1007
ブラームス: チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 op.38
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ファリャ:スペイン舞曲第1番〜歌劇「はかない人生」より
   
グラナドス:スペイン舞曲集 op.37 より 第5番「アンダルーサ」
サラサーテ:スペイン舞曲集 op.23より 第1番「祈り」
アルベニス:タンゴ
カサド:愛の言葉
ファリャ:スペイン民謡組曲より 
         ムーア人の織物
         アストゥーリアナ地方の歌
          ホタ
          ポロ
ちらしである。

マイスキーさんの演奏を聴くのは初めて。チェロの演奏自体も、今までに聴いたことがあるのはフィラデルフィアでのヨーヨー・マのものだけである。これはバッハ中心だったのだけれど、すばらしかった。

マイスキーさんの演奏を聴いてみて、バッハよりも差し替え前のブラームスの方が彼のスタイルに合っているようだというのが率直な感想である。「無伴奏チェロ曲」はちょっと音に艶やかさがないように感じられた。

しかしお嬢さんのリリーさんが伴奏についたそれ以下の曲では、流麗で艶のある音色が聞けた。ご本人もスペイン系の曲では乗って楽しげに演奏されていた。彼のCDも持っていないし、何を得意にされているのかも知らないので、断言ができないけれど、いわゆるチェロの定番になっている曲ではなく、ニッチのような曲が好みなのではないだろうか。

バルト三国のラトヴィア出身ということが関係しているのだと思うが(あるいはどうしてもそう聞こえてしまうのかもしれないが)、上にあげたスペイン系の曲もどこかスラブ的な匂いがした。スペインの音楽の特徴である「突き抜けるような明るさ、そこに挿入されるそこはかとない哀愁」というのではなく、ずっしりと重い暗さ、翳りがあった。「パッショネイト」という点では、たしかにスペインの精神を具現化はしていたけれど。

そして、なんとアンコールを5曲もされた(ひょっとしてもう1曲あったかも)。私は4曲目が終わって会場をあとにしたのだけれど、出口のモニターにまだ5曲目のアンコール曲を演奏しているお二人の姿が映っていた。私の聴いたアンコールの曲どれもが(曲目が分からない)すばらしくて、会場にはどよめきと興奮が広がっていた。激しく、美しかった。演奏者と客とが一体となった観があった。

私がいちばんステキだと思ったのはお嬢さんのリリーさんのピアノだった。弱冠23歳だけれど、繊細でそれでいて情熱的な演奏は未来の大器を思わせた。お父さんはあのピアノのアルゲリッチとも親しいし、彼女自身もアルゲリッチの指導を受けたとプログラムの紹介文にあった。たしかに演奏スタイルも精神もアルゲリッチを思わせた。これからフォローしたいアーティストがまたできた。

アルゲリッチも10月6日にキーシンと一緒にここで演奏する(このチケットは予約しようとした時にすでに売り切れだった)はずだったのだが、病気で来日がキャンセルになったようである。