yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『迷子札』たつみ演劇BOX@新開地劇場2014年10月8日昼の部

喜劇。他劇団でも何回かみたことがあるが、たつみさんのところでは二回目。他劇団と決定的に違っていたのは、その構成の緻密さ。大枠の筋にサブプロットが絡むかなり複雑な展開。それぞれの筋は展開をすっきりと整理、組み直すことによって、観客が容易に理解できるように工夫されていた。

タイトルが示す通り、ストーリー展開の軸になっているのが15年前の浅草観世音の宵祭りで迷子になった子供達——侍の伊藤左門(宝)の息子、要次郎(瞳太郎)と火消し、町田の辰五郎(たつみ)の妹、千鶴(みつき)——の取り替え。「迷子札を付けてさえいれば、幼い妹が迷子にならずに済んだのに」という火消し辰五郎の嘆きからきている。

その柱になる筋に、にせ占い師「女天学堂」(ダイヤ)一味が狂言廻しで絡む。「女天学堂」は実は山中白蔵という盗賊。最初の絡みは浅草金竜山の「女天学堂」の住処に、実の父母の行方を占って欲しいと要次郎が訪れたところ。伊勢屋の手代になっている要次郎は客から預かった高価な商品を持っていた。それを「女天学堂」一味に奪われる。ここの見せ場は(実は)男の「女天学堂」が要次郎の手を胸元に無理矢理持ってきておきながら、「犯されそうになった」と騒ぎ立てるところ。

次の絡みは「女天学堂」一味が左門宅を訪ねて娘の千鶴を勾引すところ。「女天学堂」は千鶴を勾引した途端、男に戻る。ここも見せ場の一つ。ダイヤさん大活躍。

最後の絡みは辰五郎が「女天学堂」に押しかけ、さんざんこの一味をいたぶるところ。要次郎がされた仕打ちをそっくり逆にして、「女天学堂」の正体を暴き出す。たつみトーク炸裂。江戸の火消しの筈なのになぜか大阪弁。「女天学堂」に何を占って欲しいのかと聞かれ、「三十八番目の女がどこにいるのかを占って」と応える。聞かれもしないのに、「最初の女は八十七歳。次が九十歳。その次が未亡人あけみ」といった調子でたつみトーク炸裂。お客さんたち大笑い。

占いの前にもケッサクな場面が目白押し。前に観たときは入り口から入っていたと思います。でも今回は背後のスクリーンから登場。止める愛さんを散々からかいます。侍姿が板についていないのを「ぱっちもん」。愛さんがああいえば、こういう。それもすべて大阪弁で。ここでもお腹の皮が捩れるほど笑いました。

一番感心したのは身投げしようとした要次郎を助けだし、その後彼を諭す場面のたつみさんのナガーイ述懐。立て板に水でありながらも情の細やかさをにじませて秀逸。ベタベタ感ゼロ。さわやか。