yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

大地真央、森公美子、益岡徹主演『一人二役』@新歌舞伎座11月19日夜の部

以下、公演公式サイトからの情報と写真。

ハラハラドキドキの「離婚大作戦」!
名コメディエンヌがお届けする抱腹絶倒のノンストップ<爆笑> 喜劇!

<スタッフ・出演>
ロベール・トマ『DOUBLE JEU』 = 原作
福島三郎 = 上演台本・演出
大地真央、森公美子
山崎一、おかやまはじめ、木津誠之、権藤昌弘、
益岡徹

<ものがたり>
物語の舞台はパリ郊外にある豪邸。フランソワーズ(大地真央)は天涯孤独だが、叔父の莫大な遺産を相続し、半年前にリシャールという魅力的な男性と結婚した。

しかしすぐにリシャール(益岡 徹)は財産目当てで乱暴な放蕩者であることが分かり、すっかり疲れ果てたフランソワーズは早くも離婚を考え始めていた。
ある日家政婦のルイーズ(森公美子)の恋人がリシャールと瓜二つの実の弟だと知ったフランソワーズは、夫の留守中に弁護士の目の前で弟ミシェルにリシャールを演じさせ、離婚の手続きを済ませてしまおうと謀る。ところが弟は兄と正反対に臆病者でヘマばかり、ルイーズも大金を狙って裏切りの気配が...さらにその場にリシャールも帰ってきて大変な事態に・・・。

果たしてフランソワーズが仕組んだ逆転劇は成功するのか?そして驚愕のラストとはー?


推理ものなので、種明かしはしない。二幕構成。一幕目に退屈してこのまま帰ろうかと思った。でも、最後まで見ることに。どんでん返しに次ぐどんでん返しが結構面白く、帰らないでよかったというのが感想。どんでん返しといっても、この劇が心理合戦の上に成立していることがあらかじめ分かっていれば、推測できる筋書き。歌舞伎などの「実は....」などと同じ趣向なのだけど、西洋ものなので、おしゃれな感じになっている。そのおしゃれっぽさが軽く見えてしまい、初めは抵抗感があった。芝居として見るに足るものかどうか。これだったらアガサ・クリスティを家で読んでいた方がいいなんて思ってしまう程度だった。

退屈したもう一つの原因は主演の大地真央のエロキューションが悪かったこと。腹式呼吸が出来ていないんじゃないかって、イヤだった。歌手の森公美子の方はその点、さすがだった。でも、こちらは演技の上でちょっと留保がついた。対する益岡徹は、さすがと思わせる存在感があった。声も演技も良かった。彼で見せる芝居になっていた。

二幕目の最終場面、すべての「カタ」がつき、大地真央が歌う場面がある。全体を通して、ここが一等良かった。元宝塚男役スターの華と実力のほどが窺える歌唱。特にそのクライマックス部。大地が被っていた金髪巻き毛の鬘を脱ぎ捨て、それを暖炉に投げ込んでショートヘアになるところ。演出が生きていた。それまでの彼女を含む人物たちの「スキーム」が凝縮され、それらが一挙に解放された瞬間だった。