参院選が間近である。この期に、皇位継承の男系男子派がこだわる旧宮家復帰案と、その根拠をなしている「Y染色体」の実際、ならびになぜ彼らがそれにこだわるのかを考察してみたい。
その上で、例の「有識者会議」に影響を与えている男系男子派の中枢組織、「日本の尊厳と国益を護る会」のメンバー一覧を明示したい。参院選の候補を選ぶときの参考になれば幸いである。メンバーをWikiから引用させていただく。以下である。
まず執行部。
そして参院議員。
どこまでも「男系男子」にこだわり続ける一派がその妄想の根拠としているのが「Y染色体」。しかし昨今の研究で、Y染色体がいかに脆弱なもの、fragileか、喪失の可能性もあることが示されている。その一つが、2019年10月に理化学研究所が東大と組み、「日本医療研究開発機構」として発表した以下の研究結果。リンクしておく。
要諦の一部が以下。
国際共同研究グループはまず、2017年の英国の報告に類似した方法により、バイオバンク・ジャパンに登録された男性95,380人のDNAマイクロアレイデータを用いて、Y染色体の遺伝的多型[4](この場合はSNP)のシグナルの強さをもとに、各個人のY染色体の相対量(便宜的にmLOYシグナルとします)を推定しました。mLOYシグナルは、各個人の血中の細胞の中で、Y染色体の喪失が起こっている細胞と起こっていない細胞の比率の推定値を表しており、mLOYシグナルが強いほどY染色体の相対量が少ないことを示します。本手法で推定したmLOYシグナルがこれまで報告された加齢や喫煙といった指標と関連しているか調べた結果、mLOYシグナルは、それらと強く関連していることが分かりました(図1)。このことは、本手法の正しさを示すものです。
ここには、喫煙等の外的要因によってもY染色体の喪失が起きるということが示されている。
「日本の尊厳と国益を守る会」会員たちは科学を無視、旧宮家の男子に(あるかないかもわからない)Y染色体をなぜ期待するのだろうか。長い人類の、そして日本人の歴史の中でなんども「Y染色体喪失」が起きていても不思議ではない。それよりむしろ、X染色体の継承の方がはるかに意味があるのではないか。
日本人のルーツを探るのに母親から受け継ぐミトコンドリアDNAを調べる研究がなされている。つまり遺伝が父母双方から継承される以上、喪失した可能性があるY染色体のみにこだわる意味がわからない。Y染色体のみが男性であることの証明とされるなんて、いつの時代の話ですか。「Y染色体は男性のシンボルであるから尊い」なんてことを言ったら、「なんて非科学的な妄想!」と世界の有識者からは嗤われますよ。日本がいかに女性差別の国か、海外に向けて宣伝しているようなものだから。
「日本の尊厳と国益を守る会」という非科学盲信者の会、おそらく彼らの目的は「政治」にあるのだろう。その頭に「利権」をつければ、より一層彼らの真の意図が見える。そうでなければ、彼らはオーム真理教並みのカルト、あるいは狂信者ということになる。
さらに加えれば、旧宮家を復帰させるとして、彼らが天皇にふさわしい人物か、どうやって判断するのですか。神道のトップとして国家安寧のための祭祀を毎日やり続けておられるのが今上陛下。幼い頃からのいわゆる「帝王教育」の下、昭和天皇から涵養を受け、天皇としての魂を受け継いで来られている。それは一朝一夕になるものではなく、まさに当事者としてその場でほぼ口移しで伝えられるものの集積だろう。そこに天皇の魂がある。そういう環境で育たない限り、魂は受け継がれない。となると、旧宮家を復帰させ、彼らをいずれは天皇にするなんていうのは、荒唐無稽な絵空事に過ぎないことがわかる。
今上陛下のお膝元で育たれ、「帝王教育」も受けておられる(陛下のお言葉からそう推察している)敬宮愛子内親王殿下以外、次の天皇はありえないということを、しっかりと認識しましょう。もしそれが叶わないなら、天皇制は令和で終了。利権や政治を「神領域」に持ち込む政治家たちには、絶対に口を出させるべきではない。
参院選ではこの連中をできれば落としたい!