yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『卅三間堂棟由来(平太郎住家より木遣音頭の段)』@国立文楽劇場 6月16日

これは6年前に見逃した演目だった。当ブログにグダグダと言い訳をあげている。

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全体として太夫、三味線ともに低調な感じがしたことを思い出した。失望したのが「言い訳」だけれど、その後、文楽は飛躍的に活性化しているので、過渡期特有の兆候だったのかもしれない。それにしても今の文楽がこれほど盛り上がっているのは、やはり若手の目覚しい活躍があるからだと思う。

色々と積み重ねてきた努力の賜物が結果として出てきているのだろう。このコロナ禍で客席制限をしなくてはならない上、非常事態宣言での制約もある。コロナ収束後にはまた以前の活気を取り戻すと確信している。

活性化の一つの試みが「文楽鑑賞教室」で、様々なことを試しておられる。今回も同様で、太夫、三味線、そして人形遣いの方々がそれぞれの役割を解説、模範演奏をされた。長年見てきているのに知らなかったこともあり、ちょっと上級者になった気がした。

『卅三間堂棟由来』は本来は『祇園女御九重錦』というとても長い作品。概要を日本大百科全書(ニッポニカ)からお借りする。

浄瑠璃義太夫節(じょうるりぎだゆうぶし)。1825年(文政8)7月、大坂御霊(ごりょう)境内初演。時代物。若竹笛躬(ふえみ)、中邑阿契(なかむらあけい)合作。1760年(宝暦10)12月豊竹座(とよたけざ)初演の『祇園女御九重錦(ぎおんにょうごここのえにしき)』全5段のうち、三段目「平太郎住家」「木遣音頭(きやりおんど)」を独立させて改題したもの。通称「柳(やなぎ)」。横曽根(よこそね)平太郎と契り、一子緑丸(みどりまる)をもうけた妻お柳(りゅう)は、実は柳の古木の精であったが、白河(しらかわ)法皇の病気の原因を除くため、その柳を切って三十三間堂の棟木にすることになったので、夫と子に別れを告げて去る。切り倒された柳の大木は運ばれる途中、お柳の思いが残って動かなくなるが、平太郎父子の木遣音頭によって、やすやすと引かれてゆく。詞章はほとんど原曲のままだが、現代では人形浄瑠璃でも歌舞伎(かぶき)でももっぱらこの名題(なだい)で上演され、とくに浄瑠璃では人気曲になっている。

[松井俊諭]

あの有名な「葛の葉(の子別れ)」(『蘆屋道満大内鑑』より)に非常に近い内容である。だから主役はお柳ということになる。使い手は大好きな一輔さん。その相手が近頃特に大物感が際立つ玉助さん。太夫、三味線も負けていない。小住太夫さんと靖太夫さん、三味線に清志郎さん、錦糸さんと若手でトップの人たちを揃えている。私としては特に「中」での小住・清志郎ペアに聞き惚れた。

客席は制限があるし、非常事態宣言中なのでかなり少なめ。でもこのような素晴らしい演奏を聴けたことは(それも近くで)ありがたかった。コロナ明けにはおそらく後ろ3列で聴くことになるだろうから。また舞台も近かったので、持参したオペラグラスを使わずに済んだ。

7月16日から8月3日までは「夏休み文楽特別公演」が始まる。以下にチラシ表と演者一覧をアップしておく。表は『浪花鑑の』団七ですね。この第三部、演者はほぼ全員若手である。

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『生写朝顔話』の冒頭は呂勢さんと清治さん。絶対に見逃せない!なんと藤太夫さんは一部の『うつぼ猿』!一部は子供向けなので行ったことはないのだけれど、出かけてみようか。