yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

百花繚乱の「吉阪若葉会」、片山九郎右衛門師と林宗一郎師の舞台に感激@京都観世会館 11月1日

大蔵流小鼓方、吉阪一郎師の社中会は、眼福と耳福だった。錚々たる京都観世会能楽師の方々の「支援」を受けて、吉阪師のお弟子さんたちの舞台がより一層輝いておられた。私がこの3年に渡ってお邪魔させていただいている「若葉会」。今年はコロナの影響で開催が危ぶまれていたけれど、実現できたことがなにより喜ばしい。

私が吉阪師のこの社中会を何よりも楽しみにしているのは、京都観世流能楽師、そして金剛流本家の方々が全面的に支援されているからである。片山九郎右衛門師をはじめとして、シテ方のトップメンバー、お囃子方のトップメンバーが勢ぞろいする。レベルの高さは東京を凌いでいる。ホント、すごい!のひとことなんです。京都といわず近畿近縁の人が押しかけても当然の素晴らしい社中会。それなのに「能は敷居が高い」と「誤解」されている所為か来客はさほど多くない。見る側にとってはありがたいのではあるけれど、でもやっぱり「もったいない」!東京ならこれでは済まないでしょう。まあ、文化庁が京都に移れば多少の変化はあるのかもしれませんが。ただ、最近日本人の芸術感性に疑問を抱き始めているので、あまり期待できないのかもと悲観的になっています。

この日は友人と10時に河原町待ち合わせて直行したので、10時半の開演にはかろうじて間に合った。のっけからの大江信行師と吉阪倫平君の「独鼓」に圧倒された。信行師の謡も舞も圧巻だったけれど、それをまだ小学生(?)の倫平さんが見事に小鼓で助演。このナントもいえないホンワカ感にやられます。ホンワカであるものの、凛とした雰囲気も漂っているんです。見事な演奏でした。 

続いて圧巻だったのが林宗一郎師の舞囃子、「屋島」。舞は宗一郎師、小鼓は社中の加藤由紀子さん、大鼓は山本哲也師、笛は杉市和師という、これ以上ない演者の方々。とくに宗一郎師の舞は殺気立っているというか、非常にとんがったものだった。屋島は以前に演じられているのを見ているけれど、その時の最も大事なところを切り取って増幅して披露されている感があった。 

続いての一調、九郎右衛門師の「熊野」も素晴らしかった。社中の小山さくらさんが本当に羨ましい。とはいえ、この凄みのある謡にマッチする技量を求められるのは、やはり厳しいかもですよね。九郎右衛門師の吟は鬼気迫るものがあったから。今までに聞いた謡の中で、一番かもしれない。心穏やかではいられない何かがあった。 

最後まで見ないで3時ごろに失礼して残念。やはり「ヘタレ」の私です。