yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

暑さに負けない熱演の「劇団あやめ」千秋楽@がんこ座7 月30日

劇団員はたった六人。それでもこのクオリティに、いつも頭がさがる。近いうちにパリ公演が予定されているとか。そういえば、座長の猿之助さん、数年前にはオペラ座(ガルニエ宮)で踊られたんですよね。日程が発表されれば、それに合わせてパリに行こうかとも考えている。念願のオペラ座バレエも見ることができるし。

先日「初音きらら誕生日公演」に行った折、座長がこの発表をされた。阿国さんが交渉のため東京に赴かれるので、その間(23日夜〜27日)は彼女のみ休演ということだった。阿国さんの英語が堪能なことは、神戸で劇団を主宰しているアメリカ人元同僚と観劇した折にわかっていた。阿国さんは三代目猿之助(現猿翁)夫人だった藤間紫さんのお弟子さんとのこと。おそらくその縁もあり、顔が広いのだろうと推察している。彼女の舞踊の凄さは、他の大衆演劇の役者の比ではない。本格的日本舞踊で、今までに見てきたプロの日舞踊り手と張り合えるもの。紫さん仕込みなら、それも当然だと納得できる。

この日阿国さんの「花ふたたび」もしっとりとコケティッシュとがうまいバランスを成していた。いつものように見ほれてしまった。千秋楽なので普段よりもずっとモダンで派手目な曲を選んでいた?

座長の猿之助さんはミニショーのみ女形で踊られた。立ちでの踊りでは猿之助十八番の曲芸が見られた。般若面の面踊り、傘二本を使うところに既視感があった。そう、彼がまだお父上の劇団にいた頃に見た踊り。華麗な刀さばきがそれに加わる。曲芸的なものは他劇団でも部分的にあるけれど、猿之助さんの、そして「劇団あやめ」の充実度は傑出している。

「劇団あやめ」もう一つの特色である「歌舞伎崩し」のカブキを演じて見せたのはもちろんひよこさん。ミニショーでは常に歌舞伎出し物のアレンジ版が登場する。それも「英雄が怪物と闘う」という、三代目猿之助の大好物だったものが多い。昨日はなんと「鯉つかみ」!2年前の市川右團次襲名興行で見ている。リンクしておく。

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新右團次は三代目猿之助の一の弟子だったこともあり、三代目作・演出のこの演目を選んだとか。ひよこさんが闘ったのは(千鳥さんが中に入った?)可愛い魚だった。歌舞伎の見得も完璧で、しばし言葉がなかった。「今度帰ってくる時には鳳凰になって帰ってきます!」という宣言も可愛い。

劇団花形、きららさんの「乱の舟歌」も華麗だった。きらびやかな衣装もさることながら、その高い身体能力を活かしたアクロバット舞踊がすごい。この日もバク転を10回も!それも乱れがない。女優さんとは思えないほど、美剣士になりきっておられた。

千鳥さんは「涙そうそう」を踊られたのだけれど、彼女の実力のほどがわかる舞踊だった。派手ではないのに、ぐっと迫ってくるものがあるのは、やはり踊り込んだ巧さが下地にあるから。彼女がこの劇団の柱的存在であることが、芝居を見ればわかるだろう。芝居には彼女の「支え」が不可欠。すごい「女優魂」の女優さんです。

 

次は和歌山の「夢芝居」劇場。かなりへんぴな場所なので、車のない私にはアクセスは無理。今年いっぱいは関西公演がないとのこと。非常に残念。