yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

ロイヤル・バレエ『ドン・キホーテ』in 「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2018/2019」@TOHOシネマズ西宮 5月17日

『Culture Whisper』での劇評によると、主役Kitriを演じていたNatalia Osipovaが最初の幕で跳躍の際に怪我をしてしまい、急遽高田茜が代役となったという。今季の『ドン・キホーテ』は二つプロダクションがあったようで、そこではMarianela NuñezがKitri役だったようである。ロイヤル・バレエ観劇では、この「複数プロダクション」を確認せずに、なんども痛い目に会っている。とくに、『不思議の国のアリス』では日本での来日公演、さらには英国での公演でホゾを噛んでいる。アジア人がアリスを踊るなんて、かなり無理があるように思う。ということで、ロンドンで見るのであれば、しっかりとチェックしてNuñez and Muntagirovのプロダクションで見ただろう。

昨年夏のロンドンでのバレエ観劇でNuñezのエネルギッシュな舞踊に感心したばかりなので。しかし、シネマ版ではプロダクションは選べない。「アリス」で懲りていたはずがうっかりと演者を見ないで出かけてしまった。会場に若い女性が多いことで、初めて「あれっ?」って思った。ほとんどの客は高田茜が主演と知っていたのだろう。「しまった!」とホゾを噛んだけれど、遅し。

でも高田嬢、悪くはなかった。第一幕はご本人の緊張ぶりがビンビンと伝わって来て、どこか痛々しかったけれど、幕が進むにつれて、かなり無駄な緊張が解けてきていたように感じた。第三幕でのソロとBasilio 役のAlexander Campbellとのパ・ド・ドゥ、いずれも超絶技巧を見せてくれた。技巧的には何年か前の見たときよりも、格段に「進歩」しているように思う。とくに、跳躍の高さ、そして細やかな、滑らかな身体のひねりに関しては、Nuñezを超えていた。Nuñezが大味気味なのに対し、高田の身体はどこまでもたおやか、繊細だったから。ただ、表情が硬いのが気になった。あの張り付いたような笑顔、なんとかならないのでしょうか。もっと大役の経験を積まれて、ごく自然なものになることを期待している(エラそうに、すみません)。

相手役のAlexander Campbellも、高田とペアを組むのに適材だった。爽やかな青年。彼のソロも高田とのパ・ド・ドゥも、他のどの踊り手より迫力があった。それでいて、品がいい。それが彼の舞踊の際立った特色だと思う。

それと、金子扶生がとてもよかった。欧米の踊り手と比べても全く遜色がなく、むしろ凌駕していたのには、驚いた。背も高く、押し出しもあり、品があり、もちろんとても綺麗で、近い将来プリンシパルに抜擢されるに違いない。こういう踊り手が出て来たんですね、日本からも。

日本からといえばもう一人、「2016年ローザンヌ国際バレエコンクール」で二位だった前田紗江が群舞で輝いていたのが、うれしかった。優勝時の映像を見ていたので、才能が確信できた。ロイヤル・バレエに入団していたとは!逸材だと思う。彼女もいずれプリンシパルでしょう。となると、私の「アジアダンサー嫌い」というのが、意味をなさなくなってしまう。

バレエの詳細は別項にする。