yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『艶姿澤瀉祭(はですがたおもだかまつり)』市川猿之助宙乗り相勤め申し候@博多座2月10日昼の部

「幹部俳優出演」となっている通り、主要役者が全員打ち揃っての舞踊ショー。壮観だった。大衆演劇の舞踊ショー、宝塚、OSKのレビュー等を連想させた。個人舞踊はもちろんのこと、相舞踊、群舞取り混ぜてのショー。どこまでも客を楽しませることに主眼がおかれていた。この姿勢、猿之助の心意気に溢れていた。

多彩な趣向を織り込んだ構成はなぜか五年前に八千代座で見た玉三郎の「春夏秋冬」を思い出させた。ショーの中に劇を入れ込んでいるところが似ていた?よく練られているのだけど、きっちりと緊密に組まれているわけではなく、緩やかなまとまり。でもこれが逆にムーブメントを引き起こす仕掛け。剣戟、殺陣、民謡、大衆歌謡、歌舞伎舞踊、それになんとフラメンコ!最後は阿国と山三を中心にした役者総出の群舞でしめられる。とことん客を楽しませるという意図がビンビンと伝わってきた。

度肝を抜かれたのは恒例になっている猿之助の宙乗りではなく、平岳大のフラメンコ。ほぼ終盤にこのキメが入っていたのだけど、お客さん、みんな口をあんぐり。意外や意外。こんな切り札をお持ちだったんですね、平さんは。それも玄人はだし。以前からダンサーでおられた?今回のために稽古されたとは思えない巧さ。しかも背が高いので舞台映えすることこの上ない。もっと見ていたいほどの華麗さだった!

こういう舞踊ショーは歌舞伎としては今までなかったのでは?もちろん個人の舞踊はしっかりと組まれてはいたのだけど、それぞれが普段のものとは違えて合った。「藤娘」、「道行」、「手習子」といった日舞の踊りはそのままに、もっと大衆っぽい「博多祝い歌」、「大漁節」、「黒田節」などがまさに大衆演劇十八番の舞踊。いつもの歌舞伎舞踊ではなく、より西洋的な形に変形が施されていたように感じた。このめまぐるしさ!これも観客を退屈させない。相舞踊もしかり。こういう趣向は大衆演劇の舞踊ショーではおなじみのものだけど、歌舞伎でこれを持ってくるなんて、なんというチャレンジ精神。

圧巻は群舞。コメントをいただいて判ったのは、とびきり楽しかった群舞は「深川マンボ」。昨年10月に見た松井誠さんのショーを思い出した。あのウキウキ感!歌舞伎の群舞にはない楽しさ、めでたさ。晴れやかな、艶やかな祭り気分に感染した客が、百パーセント満足して劇場を後にしたことは請け合える。