チェンバロを聴くのは久しぶり。あの鄙びた音色にほっこりとした。会場はホールではあるものの、コージーな雰囲気。若い女性三人の演奏者というのも良かった。なんといっても、チェンバロのどこか懐かしい音に惹きこまれた。これがワンコインで見られる(聴かれる)んですからね。宝塚に住んでいることに感謝。贅沢かつ豊潤な時間を満喫した。以下にプログラムと解説をアップしておく。
〜18世紀の人気作曲家 ヘンデルとテレマン〜
気軽に楽しめるロビーコンサートとして毎回たくさんの方にご来場いただいているチェンバロコンサートのスペシャルバージョンです。美しいホールでいにしえのひびきをご堪能下さい。
【出演】
中田聖子(チェンバロ)
井上佳代(リコーダー)
河内知子(バロック・ヴァイオリン)【曲目】
G.F.ヘンデル: トリオソナタ ヘ長調 HWV.389
G.F.ヘンデル: チェンバロ組曲 第7番 ト短調 HWV.432
G.P.テレマン: トリオソナタ ニ短調
G.P.テレマン: トリオソナタ イ短調
チェンバロ奏者の中田さんからはチェンバロという楽器の解説があった。いくつもの型があるそうだけど、このホールにあるのはフランスのものらしい。リコーダーについても奏者の井上さんから丁寧な解説が。リコーダーも、小学校で用いられているものと彼女のものとは月とスッポンほどの差。素敵な音色を聴いて納得。また、バロック・ヴァイオリンなるものの演奏を初めて聴いた。これも奏者の河内さんからの解説が。ことほど左様にとても「教育的」なプログラム。惜しむらくは視聴者のほとんどが年配者だったこと。若い人にこそ聴いてもらいたかった。会場の反応はどうも鈍い、というか遅い。でも一応は熱心に聴いておられたので、私がどうこういうべきことではないんですけどね。
ヘンデルもテレマンも良かった。中でも第二部のチェンバロのソロ、「ヘンデル組曲第七番」の最終章のドラマティックな展開が良かった。でも一等感激したのはアンコール曲。これはトリオでの演奏。作曲者がわからない。おそらく17世紀フランスの作曲家。しみじみと響く音色だった。あのモンテヴェルディの「オルフェオ L'Orfeo」を初めて聴いたときのようにホロリとしてしまった。バロック音楽の人を惹きつけて止まない魅力だろう。音楽性のみではなく、宗教的なもの、あえていうなら「祈り」を感じてしまうから。
帰りはホールに隣接する宝塚図書館で世阿弥の本を借り出し、そのまま逆瀬川駅まで歩いた。40分弱だった。