yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

通し狂言 『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)【第二部】』四幕五場@国立劇場11月9日昼の部

本公演には但書、「国立劇場開場50周年記念 平成28年度(第71回)文化庁芸術祭主催」が付記されている。以下、公演サイトからの引用。

<作>  竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作
<美術> 国立劇場美術係=美術

<構成>」
浄瑠璃 道行旅路の花聟 清元連中

五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
      同   二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
七段目 祇園一力茶屋の場

<主な配役>
【道行旅路の花聟】
 早野勘平      中 村 錦之助
 鷺坂伴内      坂 東 亀三郎
 腰元おかる     尾 上 菊之助

【五段目】山崎街道鉄砲渡しの場
 早野勘平      尾 上  菊五郎
 千崎弥五郎     河原崎 権十郎
 斧定九郎      尾 上  松 緑

【六段目】与市兵衛内勘平腹切の場
 早野勘平       尾 上 菊五郎
 原郷右衛門       中 村 歌 六
 勘平女房おかる     尾 上 菊之助
 千崎弥五郎       河原崎 権十郎
 判人源六        市 川 團 蔵
 与市兵衛女房おかや   中 村 東 蔵
 一文字屋お才      中 村 魁 春

【七段目】祇園一力茶屋の場
 大星由良之助    中 村 吉右衛門
 寺岡平右衛門    中 村 又 五 郎
 赤垣源蔵       坂 東 亀 三 郎
 矢間重太郎     坂 東 亀  寿
 竹森喜多八     中 村 隼  人
 鷺坂伴内       中 村 吉 之 丞
 斧九太夫       嵐   橘 三 郎
 大星力弥       中 村 種 之 助
 遊女おかる     中 村 雀右衛門
        ほか

最も良かったのは、何と言っても菊之助がおかるを演じた「道行旅路の花聟」の場。名題役者が多く出る芝居なので仕方がないとは思うのだけど、最も良い配役の場が最初に来るのはどうかと思ってしまう。この役者陣ではどう考えてもおかる役は菊之助で統一すべきだったのでは。七段目の「祇園一力茶屋の場」では特にそう感じた。雀右衛門も悪くはないのだけど、すでに菊之助のおかるを見ているので、そのギャップが苦しい。

「祇園一力茶屋の場」の大星由良之助は吉右衛門で決まりだろう。また、又五郎の寺岡平右衛門、亀三郎の赤垣源蔵、亀寿の矢間重太郎もそれぞれニンにはまっていて良かった。それと比べると隼人の竹森喜多八は、若すぎるのがちょっと荷が重いように見えた。おかるの雀右衛門、遊女ということなんだろう、なまめかしくみせようと体をクネクネさせるのが、目についた。お父様の雀右衛門丈ならこういうことはなかったので、残念。菊之助の抑えの効いた演技で見たかった。

最初の場に戻って、「道行旅路の花聟」の菊之助は、素晴らしい。恋に溺れた挙句に、夫に不忠を犯させてしまった罪悪感。恋と罪悪感との間を揺れ動く心を一見表情をあまりつけない顔つき、身体から滲ませて、秀逸。受けて立つ錦之助の勘平も抑えの効いた演技がいい。この方、目立たないように見せかけてしっかり存在感を出すことのできる数少ない役者さんのお一人だと思う。その上何といっても品がいい。舞台がはんなりする。

公演チラシをアップしておく。