行ったのはもう10日近くも前になる。
「テート・ギャラリー」に行ったことがあったので、てっきり同じ美術館だと思っていた。「テート・ギャラリー」はターナーやホガースなんていう英国の誇るちょっと退屈な(?)画家達のコレクションで有名だったのだけど、こちらはなんと近代美術館。コレクションもずいぶんと違うと読んだので、NYの「MoMA」を期待しつつ出かけた。ただこの日は雨。それもイギリス独特の(彼らが“shower”って呼んでいる)しょぼしょぼ降る冷たい雨。初めて行くところなので、一応PCで地図をチェックして出かけたのに、最寄駅と記載されているブラックフライアーズ駅を降り立ったら、右も左も方角がまったく分からず。駅員さんに聞いたら、「橋を渡ったらすぐ」とのこと。案外近そうだったので、風と雨の中を進んで行った。この「橋」がくせもの。ケッコウ長い。おまけに渡ってからも右往左往。聞きまくって、ようやく到着。それほど分かりにくい場所。もとはサウスバンク発電所で、いわゆる工場、倉庫などのある工業地帯。政府が再開発プロジェクトの一環として造った美術館だった。
イギリスの美術館は基本無料。とはいえ、寄付として幾ばくかしておいた。収集絵画の数はそう多くはないのだけど、メディアを駆使しての展示がすばらしかった。大好きなマーク・ロスコの絵が何枚かあった。ちょうど「The World Goes Pop」というポップ美術の展示会が開催されていた。こちらは入場料を取られた。この展示会の紹介をリンクしておく。
展示会のポスターにもなっているUshio Shinohara(篠原有司男)の「雛祭り」というタイトルの絵(?)が以下。
その他にもにも横尾忠則さんの「KISS KISS KISS」という2分程のアニメ、
田名網敬一さんの「CRAYON ANGEL」という3分程度のアニメなどが展示されていた。イラストやアニメなどというポップ美術が「芸術」として認知されているのが興味深かった。
その他にもこの展示の中に何人かの日本人美術家のものがあった。この篠原さん、まったく初耳の美術家。ウィキでみるとなかなかユニークな経歴の方。絵も力強いタッチ。だいたいがここに展示されている作品には、なにか特別な気を感じた。ウォホールの例のキャンベルスープもあったけど、それが霞むくらい。
面白かったのは、「ロスコの絵に重ねて書かれた文字を消す」という作業のドキュメンタリー。何年もかかってようやく成功したという。これが20分弱のビデオとして流されている。海外の美術館は写真がOKというところが多い。で、私が撮った当該ロスコーの絵が以下。
このドキュメンタリーシリーズ、その他にも常時10本程度が保存されていて、気に入ったものをその場で観ることができる。
これらは美術教育の一環として捉えられているようだった。道理で先生に連れられた小学生のグループをいくつかみた。それはミラノでもベルリンでもそうだった。日本もそういう取り組みをしているのかしらんと、気になる。