yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

ナタリー・オシポヴァとポリーナ・セミオノーヴァの舞踊が絶品だった バレエ『Jewels』@ミラノ・スカラ座@3月9日マチネ

昨日観たバレエ、『Jewels』になんと去年ロンドンで『ジゼル』を踊ったミハイロフスキー・バレエ団のポリーナ・セミノーヴァがゲストとして出ていた。事前知識、下調べを一切しないで出かけたので、ただただ自分の幸運に感謝した。今最高峰の踊り手だろう。群を抜いた優雅さだった。

Jewelsは三部構成:「Emeralds」;「Rubies」;「Diamonds」。

主構成員はスカラ座の主要なダンサーたちだったのだろうが、オペラグラスを忘れたので姿の判別が難しく、確信はない。2階席からみていると、群舞がそろっていないのが気になった。個別の踊り手はさすがに優れていたが、群舞、とくにそのキメのところで手の挙げる角度が違ったり、足の開き方が微妙に違うと「えっ?」と思ってしまう。スカラ座バレエの訓練方針の一端がみえてしまう。ただ、個々の踊り手の個性とでもいうべきものがくっきりと浮かび上がるという利点もあり、踊り手としてはロシア、ドイツなどよりも「自分カラ―」を出せるのかも。白人ばかりだったようで、体型、顔に関しては世界トップにカウントされるのは間違いないのでは。

第二幕の「ルビー」で二つ目のコンビのプリマは素敵だった。全体的に肉感的なダンサーの中で、最もスリム。踊りの切れも良かった。肌の色が他の人より多少浅黒かった。[今調べて、このプリマ、おそらくナタリー・オシポヴァ(Natalia Osipova)] 。この人と組んだ男性も良かった。第一幕の「エメラルド」がクラッシックバレエの粋を集めたものになっているのに対し、「ルビー」はモダンダンスの要素がふんだんに取り込まれていて、楽しかった。

そして、最後の「ダイアモンド」のポリーナ・セミオノーヴァ!出てきた瞬間にあの人と判った。圧倒的存在感。他ダンサーと格が違いすぎた。優雅というだけではなく、確かさ、もっというなら「きつさ」「激しさ」のようなものを感じる。それが優雅という衣裳(意匠)をまとって示されるので、見ている側も「ああ、きれい」で許してもらえないような、そんな緊張感を感じてしまう。ただ、『ジゼル』のときと違い、「悲劇のヒロイン」を演じなくてもよかったので、多少は気が楽だったのかも。ロンドンで見た時より、余裕があるように感じた。今日一番の収穫。組んだフリードマン・フォーゲル(Friedemann Vogel)も跳躍力がすばらしかった。この人も優雅。でも終始セミオノーヴァにリードされている感じだった。キャリアの違いかも。