yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

「世界的に高い評価を受ける、
ルーマニア映画の新たな潮流」

以下、『BRUTUS』の記事。

“ルーマニアン・ニューウェーブ”と呼ばれるこの一連の動きをリードしているのが、07年カンヌ国際映画祭で『4ヶ月、3週と2日』がパルムドール(最高賞)に輝き、最新作『汚れなき祈り』が昨年の同映画祭脚本賞と女優賞の2冠を獲得したクリスティアン・ムンジウ監督だ。ルーマニア独自の社会的、政治的な背景をベースに、ショッキングな題材を取り上げてきた彼が今作で迫るのは、05年に実際に起きた“悪魔憑(つ)き事件”の真実である。

周囲から隔絶した修道院で、信仰の名のもとに惨劇が起きるこのヒューマンドラマは、一見異常に見える事件を通じて、決して他人事ではない人間の本質を突きつけてくる。

「トランシルヴァニア国際映画祭」(5月31日—6月9日)は「2002年よりルーマニア・フィルム・プロモーションによって、ルーマニア第3の都市クルジュ=ナポカで開催されている国際映画祭」で、最近急速に注目を集めるようになってきたのだという。ベルリン、カンヌに迫る勢いだそうだ。かっての東欧で、映画界に新風が吹いているなんて、まったく知らなかった。

これを知ったのは、”Bodies in Between” というinterdisciplinaryなテーマの
学会で発表しようと、プロポーザルを提出したのがきっかけ。映画論、演劇論、ジャーナリズム等の発表原稿を募集していた。2月のアメリカでのポップカルチャー学会に出席できなかったので、なんとも不完全燃焼。ちょうど似たような企画だったのがこれ。さっそくプロポーザルを提出した。5月29日から31日の学会後、この映画祭が学会開催地でもあるクルジュで開催される。というか、学会をそれに合わせて開催したのだろう。映画祭に参加するプログラムも組まれているよう。もしアクセプトされれば、行くつもり。

上の記事中の映画、『汚れなき祈り』を予告編サイトでみて、衝撃を受けた。タイトルに公式サイトをリンクしておく。また、Wikiにもすでに記事になっている。公式サイトからの情報は以下。

製作:ルーマニア=フランス=ベルギー。
原題:Dupa dealuri。英題:Beyond the Hills。
出演者:タティアナ・ニクレスク・ブラン原作、クリスティアン・ムンジウ監督、コスミナ・ストラタン、クリスティーナ・フルトゥル、ヴァレリウ・アンドリウツァ、ダナ・タパラガ。

2005年、ルーマニアの修道院で現実に起きた悪魔払い(エクソシズム)による致死事件を題材にしているとのこと。1989年、チャウシェスク政権が倒れ、「民主化」がすすめられたはずのこの国も、いまだにさまざまな問題を抱え、苦しんでいるのが分かる。私たち日本人がもっとも理解できないのは「宗教」絡みの問題だろう。いちおうルーマニア正教会が主流だというが、ロシア正教会と似ているとすれば、旧弊なおよそ民主化とはほど遠いシステムで運営されているのではないか。もっと問題なのは人の意識が旧いままなことで、封建社会の縛りがそのまま生きているのだろう。この映画を観た方のいくつかのブログ記事から、そう想像している。観るのに、ちょっとした覚悟が要るかもしれない。