あまりテレビをみないけど、たまにつけるとNHKのくだらない番組(とくに最近の)にあきれているが、「日曜美術館」、「古典芸能鑑賞」、そしてこのコンサート中継は他局が真似できない完成度の高さで、さすがと思ってしまう。以下がNHKの紹介記事。
世界で最も注目されているクラシックコンサートの一つ「ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート」。ウィンナワルツやポルカなどで構成される華やかな祝祭は、音楽ファンならずとも見逃せない新年の一大イベントである。世界中で生中継され、世界で最も多くの人が同時に視聴するこのコンサートを、今年もウィーン楽友協会からFMとテレビの同時生中継でお届けする。今年の指揮は、ダニエル・バレンボイムが務める。
Eテレの番組では、例年通り、年末のウィーンで撮影した練習風景や指揮者インタビューなどに加えて、11月の来日公演期間中にウィーン・フィルのメンバーが東北の被災地を訪れて子供たちと触れ合う様子なども取材し、ウィーン・フィルの楽員の素顔に迫るとともに、ウィーン・フィルと日本との交流の歴史も紹介する。【ゲスト】音楽評論家…奥田佳道,【ゲスト】バリトン歌手… 甲斐栄次郎,
「美しいエレーヌのカドリーユ 作品14」 エドゥアルト・シュトラウス作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「ワルツ“平和の棕櫚”作品207」ヨーゼフ・シュトラウス作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「カロリーネ・ギャロップ 作品21a」 ヨハン・シュトラウス父・作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「エジプト行進曲 作品335」 ヨハン・シュトラウス作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「ワルツ“もろ人手をとり”作品443」 ヨハン・シュトラウス作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「ポルカ・シュネル“恋と踊りに夢中”作品393」 ヨハン・シュトラウス作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「喜歌劇“くるまば草”序曲」 ヨハン・シュトラウス作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム 「ギャロップ“ことこと回れ”作品466」 ヨハン・シュトラウス作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「ワルツ“ウィーンの森の物語”作品325」 ヨハン・シュトラウス作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「ポルカ・フランセーズ“大好きな人”作品1」 ヨーゼフ・ヘルメスベルガー作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「ポルカ・シュネル“花束”作品188」 ヨーゼフ・シュトラウス作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「歌劇“カプリッチョ”から 月光の音楽」 リヒャルト・シュトラウス作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「ワルツ“ロマンチックな人びと”作品167」 ヨーゼフ・ランナー作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「ポルカ・マズルカ“からかい”作品262」 ヨーゼフ・シュトラウス作曲 (管弦楽団)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「ポルカ・シュネル“害のないいたずら”作品98」 ヨーゼフ・シュトラウス作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「バレエ音楽“シルヴィア”から“ピチカーティ・ポルカ”」 レオ・ドリーブ作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「ワルツ“ディナミーデン”作品173」 ヨーゼフ・シュトラウス作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「ポルカ“憂いもなく”作品271」ヨーゼフ・シュトラウス作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「ポルカ・シュネル“カリエール”作品200」 ヨーゼフ・シュトラウス作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「ワルツ“美しく青きドナウ”作品314」 ヨハン・シュトラウス作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
「ラデツキー行進曲 作品228」ヨハン・シュトラウス父・作曲 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ダニエル・バレンボイム
〜ウィーン楽友協会から中継〜
実況中継なので幕間が入るが、その折に1959年来日公演(ヴィリー・ボスコフスキー指揮)の録画の一部(ヴァイオリンを弾きながらの指揮)も放映された。また、去年東北の被災地を訪問、演奏活動を行った際の映像も放映された。ウィーンフィルの温かさがしみじみと伝わるもので、感動的だった。
以下は指揮者のバレんボイムの近影。
彼の演奏活動を紹介する「ダニエル・バレンボイムって誰?」というネット記事が以下。
今年の指揮者を務めるダニエル・バレンボイムはアルゼンチン生まれのユダヤ人であり、イスラエル国籍を持つ。音楽のキャリアをピアニストとしてスタートしたが、名声を高めたのち、指揮者に転身した。
バレンボイムはフルトヴェングラーに私淑し、ワグナーやリヒャルト・シュトラウスを得意としている。いずれもヒトラーが好んだ音楽家であり、バレンボイムのルーツを考えると少し不思議な気もする。実際、彼は過去にイスラエル国内でワグナーを指揮しようとしてファシストのレッテルを張られたこともある。
しかしながら、バレンボイムは無邪気なネオナチでは決してない。彼はイスラエルの良心的文化人としてパレスチナ問題に対しても積極的な発言を行い、「オリエンタリズム」で知られるアラブ系英文学者エドワード・サイードとも親交を結んでいる2 。自分の属する民族がかつて迫害を受けながらも今や加害者としてふるまう中、彼は文化人として自らに課された責務を果たそうとしているのかもしれない。
バレンボイムはピアニストとして、それもベートーベン弾きの演奏家としてしてレコードを何枚か持っている。ベートーベンのソナタ、たとえば三大ソナタといわれる「月光」、「悲愴」、「熱情」はギレリス、リヒテルのもの以外ではバレンボイムのもののみ。でもこの二人のものとは明らかに資質が違っていた。ドラマチックで、もっといえば粘着気質のようなものを感じた。キラキラとシャープに弾くリヒテル、ゆったりと、緩急の中にエモーションを込めるギレリスとはかなり違っていて、同じ曲がこうも違って聴こえるのかとか驚いた。バックグラウンドの差とも感じた。
「彼が指揮者に転向」したと聞いたときは、エッシェンバッハ、アシュケナージほどには驚かなかった。あのドラマティックなピアノからは当然予想できたことである。「ワーグナー好き」というのも頷ける。
昨日のニューイヤーコンサート、去年、一昨年のものよりも、華やかだったような気がする。バレンボイムのキャラクターが反映しているような気がした。
「エジプト行進曲 作品335」の演奏には彼の中東への思いが強く出ていて、聞き応えがあった。
バレエは「ワルツ“ロマンチックな人びと”作品167」 と 「バレエ音楽“シルヴィア”から“ピチカーティ・ポルカ”」のときに挿入されていた。最初の「ロマンチックな人々」はシュトラウス作曲なので、古典的な衣装で。ただし、バレリーナの帽子に大きな羽(?)がついているのが斬新。二つ目のポルカのときの衣装は、百パーセント「ヴィヴィアン・ウェストウッド」!思わず叫んでしまった。スタイリッシュだった!
当地ウィーンでは大晦日にバレエ、『蝙蝠』が上演されたらしい。去年5月に西宮の芸術文化センターで観て感激したことを思いだした。ウィーンの人たちが本当にウラヤマシイ。