yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『お祭り提灯』「劇団創立65周年記念松竹新喜劇特別公演」@松竹座11月21日昼の部

『堀江川』というとてもしんみりさせる芝居が最初に来ていたのだが、それについては後日に記事にするつもり。あまりの忙しさに、最近かなりバテ気味で冬休みを指折り数える始末。記事もなかなか書けない。論文も放置したまま。辞める前に感傷に浸る暇がないのは、良いことかも。

ちょっと安直だけど、松竹サイトからの芝居あらましをそのまま流用。

『お祭提灯』(昼の部・夜の部)
○●Wキャスト●○
提灯屋徳兵衛 ・・・・・・曽我廼家玉太呂(奇数日)
      ・・・・・・ 曽我廼家八十吉(偶数日)
徳兵衛女房おすみ・・・・ 川奈美弥生(奇数日) 里美羽衣子(偶数日)
大工留吉・・・・・・・・・渋谷天外
上総屋万吉・・・・・・・・小島慶四郎
上総屋女房おきみ・・・・・千草英子
丁稚三太郎・・・・・・・・藤山扇治郎
世話役佐助・・・・・・・・中川雅夫
近所の女房お富・・・・・・大津嶺子
金貸山路屋幸兵衛・・ ・・・曽我廼家文童

お祭り提灯 一幕 〈昼の部・夜の部〉
舘直志 作/星四朗 脚色/渋谷天外 演出

 町で評判の善人、提灯屋の徳兵衛さんが、お祭りの寄付金が二十五両も入った財布を拾った。 その様子を、金のためなら何でもするという、高利貸しの山路屋幸兵衛さんが見ていたから、さあ大変! 徳兵衛さんが財布をこっそり提灯に隠したまでは良かったのだが。 二十五両をめぐって善と悪との追っかけっこ、それに加えて丁稚三太郎が絡んでの大騒動、はてさて二十五両は誰の手に?
 徳兵衛に曽我廼家玉太呂、曽我廼家八十吉が、その女房おすみに川奈美弥生、里美羽衣子がそれぞれ日替わりにて、そしてお馴染みの小島慶四郎に曽我廼家文童、大津嶺子、中川雅夫も加わり、爆笑の一幕を繰り広げます。 また祖父藤山寛美の当たり役・丁稚三太郎に藤山扇治郎が挑むのも大きな話題です。

私が観たのは21日だったので、奇数日の配役だった。どの人も手練。松竹新喜劇を見直した。人情劇ではさすがに無敵。新派も目じゃない。これは役者の年齢構成も関係しているかもしれない。新喜劇の方がずっと平均年齢は若い。それに、いわゆる「大御所」が控え目で、若手をサポートする側に徹している。これも新派との違い。新派も山田洋次を監督に迎えるようでは終わっているかもしれない。自前の舞台監督を育ててこなかったと思われても仕方ないだろう。

それに比べると、新喜劇のしたたかさ。きっちりと新喜劇の演出を踏襲しながらも新しさを随所に入れている。演出家が若いのだろう。その演出、オシャレである。下敷きになっている脚本をよりモダナイズしているので、若い観客にも受け入れやすい。しかも吉本新喜劇ほどのカゲキな「下品さ」はない(これはこれで悪くはないのだけど)。あくまでも言葉の応酬によるオカシミに重点がおかれている。上質の喜劇である。

『お祭り提灯』、いくつかの大衆演劇の劇団でも観た。一番だったのは劇団花吹雪のもの。上総屋女房おきみ役の三代目京之介さんと、丁稚役の二代目京之介さん、そして強欲金貸し幸兵衛役の寿美英二さんが良かった。この日の芝居でも幸兵衛役の曽我廼家文童、そして丁稚役の藤山扇治郎は飛び抜けて良かった。扇治郎は藤山寛美さんのお孫さんだとかで、さすがに血は争えないと思わされた。

そうそう、幕間にロビーで七之助さんを認めた。休憩が終わって自分の席に行くときにもお見かけした。一階席の一番後部席だった。松竹新喜劇を見に来られるとは、研究熱心。お父さまもさぞかし喜んでおられるだろう。もともとお祖父様の勘三郎は関西歌舞伎に所縁のある役者だったんだもの。ある意味、当然かも。でも、うれしかった。