yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

『節分の一夜』都若丸劇団@岐阜葵劇場 5月14日昼の部

ラッキーなことに、初めてみるお芝居だった。若丸劇団は同じ芝居でも演出方法等、その都度変えるので、何度観ても新鮮なのだけど、やっぱり初めて観るものは「いったいどんなお芝居なの?」というワクワク感が違う。

第一場 大店の店先
手代(剛)が店のお嬢さんのおきく(京香)からことづけを届けるよう頼まれる[誰へのものかはここでは伏せてあります]。道中で中身をみた手代、驚く[中身が何なのかも、ここでは分らない]。

そこへやくざ風体の男、寅吉(若丸)がやってくる[この時の衣装が、金ぴかの趣味の悪いもの。そう、あの寅さんを連想させるもので、笑えました]。店の女中をしている妹のおさき(ゆきか)に、博打の金をせびりにきたのだ。おさきはさんざん今までにも兄に金を貸しているので、兄の頼みをはねつける。しかたなく帰る寅吉。

おきくが「お金が手文庫から10両なくなった」と騒ぎ出す。そして「下手人」はおさきに違いないと決めつけ、父(城太郎)の止めるのも聞かず、他の奉公人の前でおさきを折檻する[この辺り、あまりにもおきくのヒステリック度が高いので、何かウラがあるのだろうと判ります]。そこへ再び寅吉登場、おさきを庇う。益々怒りを募らせるおきく。おさきに店を出て行くようにと言う。

寅吉が脇へおさきを呼んで聞き糺すと、おさきは自分が盗ったのだという。寅吉は妹を庇うため、自分が盗ったのだと店の主人に申し出る。店の主人は寅吉にその10
両の返済を待ってやると告げる。そして条件として、博打などの汚い金は受け取らない、まともに働いて得た金のみを受け取るという。寅吉はそれを了解する。ここでおさきは自分が盗っていないと兄にいうのだが、もう事の片付いたあとで、時すでに遅し。寅吉は過酷ながら稼ぎのよい佐渡の金山で働くことにする。

成り行きを脇で聞いていた手代、納得した風情。寅吉に向かって「清いお金を持って帰ってきたら、真相を明かす」と保証する。

第二場 おさきの家
家の前でおさきの母(ゆかり)とおさきが話しているところに、寺子屋の先生(まいと)がやってきて、二人と祝言の段取りをする。おさきと先生は結婚することになっていたのだ。

そこへおきくがやってきて、「おさきと一緒になるなら、一年前に貸した10両をすぐに返してくれ」と迫る。先生は母の病を治すため10両が必要だったのだが、それを知ったおきくが彼に無理に10両を押し付けていたことが判る[ここで、あの届け物の中身がこの10両だったことが判明]。「すぐに返せ」といわれても、すでに母の治療に使ってしまっていた先生は困り果てる。10両を手文庫から盗み、おさきにその濡衣を着せたのは、先生に横恋慕していたおきくのおさきへの嫉妬からだったのだ。

寅吉が帰ってくる。佐渡で10両作ってきたのだが、過酷な労働ですっかり変わっている。あまりにも風体が以前と変っているので、母も妹も最初は彼と分からないほどである。それでも、まっとうな金を無事に作って帰ってきた寅吉を二人は温かく向かえる。

第三場 大店の店先
店に10両持ってやってきた寅吉。店の主人も余りの変り様に驚く。今は番頭になったかっての手代が真相を明かす。怒った寅吉がおきくに殴り掛かろうとするが、皆に止められる。寅吉もこういうことでもなかったら、まっとうになれなかった自身を振り返る。最後に店の主人は、娘のおきくにを厳しく諭し、これから祝言をするおさきと先生にこの10両を渡して、めでたく幕。

昨日はみかけなかった、東映の松永さん、山田さんも芝居に参加していた。なにかとてもうれしかった。ほっとした。彼らが入ると一段と「若丸組」らしくなるから。

なんってことはないストーリーだが、随所に若丸節炸裂。これがたまらない。岐阜の人は、大阪人と比べるとややオトナシメの反応だったけど。