yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

新しい歌舞伎座 6月3日

6月公演の初日に出かけたのだが、11時の開演前には劇場前には長蛇の列。一幕見席の確保に並んでいることが分って、ホッとした。それにしても、並んでいた人の半分も入場できなかっただろう。それほど多かった。向かいの通りも人だかり。ほとんどの人がカメラを構えて、新歌舞伎座の偉容を撮っていた。歌舞伎をみない人もいたような気がする。いずれにしても、すごい盛況で、ご同慶の至りというところか。実は落成前にも地下から一階に上がったことがあるが、以前と眼に見えて変ったとは思えなかった。

以前の歌舞伎座とあまり変っていないところが、逆に「売り」なんだろう。二階、三階のロビーは旧歌舞伎座のほぼ忠実なコピーで、これはこれで意味があると思う。おなじみさんに出会ったという感じで、不思議と落ち着くから。以前の内装のshabbyさは一掃され、豪華さが際立っていた。でもどこか「下品さ」を遺しているとろが良かった。歌舞伎は庶民のものなんですからね。旧歌舞伎座はその点で、関西の南座や松竹座よりもはるかに「庶民派」色が濃厚だった。南座も松竹座も高級感が充満していて、歌舞伎がまるで上流階級の娯楽であるかのような雰囲気がある。まあ、それも松竹の戦略なんだろうけど。

歌舞伎座の雰囲気を残しつつも、設備は格段に新しくなっていた。とくに、エスカレーター。もう一つは鯛やき。これは新橋演舞場の専売特許だったはずだけれど、それがそっくり新歌舞伎座の3階に移動してきていた。色気より食い気の私は、狂喜した。ここ2年間の新橋演舞場通いの間にすっかりファンになったから。中に餡だけでなくお餅が入っていて、このコンビネーションが絶妙なんですよね。200円という価格も手頃である。

古く痛んだ、色あせた赤の絨毯が、今度は眼も覚めるような鮮やかな緋の絨毯に替えられているのを観たとき、「やっぱり、歌舞伎座は新しくなったんだ」という感慨を持たざるをえなかった。

概ね評価は高いようである。新しい板にどういう演じ手が応えて行くのだろう。それを見届けたい。