yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

「親を裁く奉行」劇団美山@池田呉服座2月12日(日)夜の部

内容は以下です。

妻おまき(ミカ)を旅のヤクザ者権二(祐樹)に寝取られた新造(座長)。二人を追って旅に出るが、旅先で権二の策略にかかって旅の商人を殺めた濡衣をきせられ、島送りになる。20年ばかりの島暮らしの末、島抜けをした新造は、とある旅籠に権二と妻が滞在していることを探りあてる。

しかし、ちょうどその少し前におまきは権二の手にかかって殺されていた。その現場を見届けた上で、新造は権二に復讐を遂げる。そこへ、役人たちが乗り込んで来て、新造は捕えられてしまう。

ところかわって、奉行所。まだ若い奉行は役職に馴染めないでいる。というのも、彼は小さい頃に前の奉行に拾われ、育てられた子供だったので、果たして自分がその役職を継ぐ資格があるのかに確信をもてないでいるからである。それを育ての母がたしなめる。そして十分に務められると励ます。

白洲には新造が引き据えられている。老いて身体の弱っている新造を役人たちが折檻している。島抜けおよび権二殺しの理由を白状させようとするが、新造はそれに対しては頑として反応しない。そこに奥の襖戸を開けて、奉行が登場する。奉行は折檻を止めさせた上で、役人たちを下がらせる。そして新造にその理由を糺す。奉行の情けある態度、振る舞いに心を動かされた新造。いままでの顛末を話す(実は、この時点で初めて彼の過去が明らかになります)。

そこへ、奉行の母が入って来て、奉行に温情ある裁きをするように訴える。奉行は新造に思い残すことがあれば言うようにとすすめる。新造が語ったのは故郷に置き去りにしてきた息子への思いだった。そして懐から息子とお揃いだというお守り袋(これって、こういう親子対面の常套ですよね)を取り出し、息子の名、「吉松」を口にする。驚く奉行とその母。というのも彼の幼名は吉松で、新造と同じ守り袋をかれも持っていたからである。うちあけるべきかどうか、逡巡し、また苦悩する奉行。その奉行の背中を押したのは母だった。奉行は自分の守り袋を取り出し、新造に示してみせる。驚く新造。

ここから二人の心理戦になります。

すべてを察した新造は、告白しようとする奉行を制し、止める。自分のような者が奉行とは何の関わりもないのだと、そして実際に商人を殺したのもおまきを殺したのも自分だという。ここで彼の決意はより揺るぎないものになっている。奉行は役人たちを戻し、裁きを苦渋の内に言い渡す。「獄門、打ち首」と。

役人たちに連れて行かれる新造。それを悲しみを押し殺して見送る奉行。そのとき、奉行が彼に渡した守り袋が新造の足下に落ちる。それを口で拾う新造。「吉松!」と叫ぶ新造とその後ろ姿を泣きながらみている奉行で幕。