私が出たペンシルバニア大学には日刊のDaily Pennsylvaniaという新聞がある。私が博士課程の学生だったころ、一度インタビューされたことがあった。というのも教えていた学生がその新聞の記者だったたからで、いい加減に答えたのに、記事はきちんとしていたので彼女の力量が並々ならないことに感心したものである。
最近この新聞をTweetしするようになったのだが、最新記事がなかなか面白かった。ペン大にvisiting studentとして来ていた University of California at Berkeleyの博士課程の学生が次のような記事を書いていたのだ。
ペンシルバニア大は全米トップのビジネススクールのWhartonを擁しているが、その学生たちにアメリカにおける格差問題をどう考えるのかという質問を投げかけているものだった。もちろんそれは最近全米に広がった格差是正のデモを踏まえたものである。平等主義の日本ではあまりピンと来ないのだが、アメリカのトップビジネススクールを出れば、将来はほぼ約束されたも同然である。それはつまり、生涯収入が破格に高くなることを保障されたことを意味するから。Whartonの卒業生のほとんどが金融界にキャリアと持つという特殊な事情を鑑みて、この記事は書かれているのだ。
私の担当していた「現代日本文学」のリーディングのクラスには5人 Whartonの学生が在籍した。卒業後の初任給年俸が10万ドルを超えるときいて、仰天したものだ。我が身の収入と引き比べて、がっくりきたのも事実である。若い人たちは世界どこでも「進歩的」であるものだけれど、不思議なことにWhartonの学生たちはきわめて功利的(よくいえば合理的)な学生が大多数派で、さきほどのような「格差是正」なんていう発想ははなから期待できない。でも時代は変わりつつある。それはアメリカも例外ではないだろう。こういう動きがどう「発展」してゆくのか、興味がある。かなり激しいデモもあったようである。