これはThe Wall Street Journal の日本語版にあった記事である。内容はまさにタイトル通り。
演繹法で書かれているので、最初の段落に全体のまとめがある。
先進国で最も深刻な労働人口の危機にさらされながら、依然として女性の活用に消極的な不思議の国、ニッポン――。世界は、そんな目で日本を見ていることが改めて浮き彫りになった。
(中略)先進国で最も深刻な労働人口の危機にさらされながら、依然として女性の活用に消極的な不思議の国、ニッポン――。世界は、そんな目で日本を見ていることが改めて浮き彫りになった。
上はニューヨーク在住のエコノミストのシルビア=アン・ヒューレットさんが日本の労働環境を調査した結果での評価である。
大卒女性で仕事をもっているのはわずか67%。そのうちかなりのものがいわゆる「お茶汲み」などの男性のアシスタントレベルの仕事である。また辞めてゆく大卒女性も74%にのぼり、それは実にアメリカの大卒女性の2倍強であるという。
彼女たちの退職理由が、これまたヒューレットさんを一層驚かせている。
さらにヒューレット氏が「最も驚くべき発見」と指摘するのが、米国などと違い、育児や老親の介護などのために家庭から引っ張られる「プル要因」で退職する女性よりも、労働市場から押し出される「プッシュ要因」で辞める女性が多い点だ。つまり、キャリア形成の機会を与えなかったり、過剰な長時間労働を強いたり、妊娠と同時に退職を促したりといった日本の伝統的な企業文化が健在であることが分かる。今も、退職する日本女性の約半数が、仕事に将来性を感じられないことを理由として挙げている。
The Economist の11月5日付けの記事ではそういう日本を「才能が生かされていない国」と表現。女性の戦力を生かしきれない日本の労働市場への痛烈な批判を展開する。労働人口不足に悩む日本がその危機的状況を打開するには女性の処遇を改善するしかないと断言している。まったくその通りである。日本企業よりも外国企業の方がはるかに働きやすいと答える女性が圧倒的に多いという。これももっともだと首肯できる。未だに旧態依然とした労働形態、慣行にしがみつき、この危機を危機として認識できていないのが大多数の日本企業ということだろう。
私の経験では日本では女性の方が優秀だと思うことが多かった。だから、彼女たちがその優秀さを正当に評価してくれる外国で働いた方がはるかに働きがいがあると思って当然である。だから一旦日本を出れば帰ってこないことも多い。なんという人材の無駄遣いをしていることか。これをあらためない限り、日本の経済が本格的に立ち直ることはないだろう。