yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

にっぽんの芸能 芸能百花繚乱「現代邦楽の息吹 箏の巨人ふたり」@NHK eテレ

今朝の早朝、途中からで残念。

NHKのサイトには以下のように紹介文が載っている。

明治時代生まれの箏の巨人、宮城道雄と中能島欣一を取り上げる。十七絃・八十絃と箏の機能を拡大し、きらびやかな表現を試みた宮城と、既成の箏を用いて、その内なる世界を追求した中能島。日本の伝統的な音楽界に革新の風をもたらし、今に至るまで影響を与え続けている。流派の異なるふたりの天才の共演は、なかなか、かなわなかったが、皇太子誕生に伴う御前演奏という形で昭和9年に実現。今回は、その貴重な映像をお送りする。

演奏曲目は以下。
「春の海」
(箏)宮城喜代子、(箏)宮城数江、(箏)矢崎明子、(箏)菊地悌子、(箏)砂崎知子、(箏)牧瀬裕理子、(尺八)青木鈴慕
「瀬音」
(箏)矢崎明子、(十七絃)菊地悌子
「ロンドンの夜の雨」
(箏)宮城道雄
「三つの断章」
(箏)中能島欣一
「さしそう光」
(箏)宮城道雄、(箏)中能島欣一

私が間に合ったのは「三つの断章」からで、中能島欣一の演奏は聞くことができた。その前に彼の紹介があったのだが、修行中の練習がいかに過酷だったかの具体例を挙げていた。10時間の稽古中、席を立つことを許されなかったという。

中能島の演奏は、説明にあるよう革新性が際立った演奏だった。筝はふつう右側をあまり使わないところ、中能島はそれを破って新しいディメンションを開いたのだという。たしかに、耳にしたことのない新しい曲相だった。といっても私などいままで筝の演奏を意識して聞いたわけではないから、いいかげんなコメントかもしれないけど。西洋音楽を意識した部分もあったように思う。シューマンの「幻想曲」をおもわず連想してしまった。

筝を聴く機会といえば正月のテレビ番組でだったり、歌舞伎、文楽の中で特別に演奏される場合くらいでだった。正月番組でかかっている曲は、もちろんあの有名な「春の海」だが、歌舞伎、文楽の中での曲は分からない。ひとつはっきりしているのは「春の海」ほどの華やかなものではなく、もっと素朴な感じのものだった。それに比べると、「六段」の方がまだ明るい感じがする。

宮城、中能島、それぞれが行く道筋こそ違え、筝の新しい局面を拓くという目的はおなじだったわけで、それだからか最後の貴重な「さしそう光」という合奏はそれぞれがきらきらとしていると同時に、ひとつの美しい球体をなしているような、そんな演奏だった。