yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

中島美嘉コンサート@兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール 6月4日

4年ぶりの美嘉ちゃんのコンサート、どうしても行きたくて結局ヤフオクで4日の分だけではなく5日のチケットも買ってしまいました。

11000円で落札した席で、1階席でも右の袖の部分で一段高くなったところでした。わりと前だったけど、なにしろ2000人収容の巨大なホールなので、思ったほどはよくみえませんでした。でもこの袖の席からみると、1階の後ろからでも舞台はけっこうみえているのが分かりました。今日の袖席とそう遜色ないかもしれません。また2階席も舞台との距離はそう遠くは感じないと思いました。さすが3階席、4階席からは舞台はかなり遠く感じられたのではないでしょうか。

でもこのホール、とてもよくできた設計だと感心しました。とくにアコースティックス!「音響を第一に考えた最新設計」という点で共通するフィラデルフィアのKimmel Center のコンサートホールと肩を並べるすばらしさでした。その点、ヨーロッパのオペラハウスとはコンセプトが違うのですよね。民主的というか、どの席からも「平等に」高いレベルのアコースティックスが得られるという設計になっています。

もちろん満席でした。始まる前から客席のテンションはいやがおうにも高まっています。開演時間を10分すぎても幕はしまったままでしたが、閉まった幕の前で道化師が踊ります。そして!幕が上がって、パンク調ファッションに身を固めた美嘉ちゃんが登場。ファッションに合わせて(?)「All Hands Together」 から始まりました。そして予想通りNANA のテーマ曲、「Glamorous Sky」 へと続きました。

照明、投光も各階の奥から可能で、CGをつかった映像が舞台のスクリーンへと投射されていて、圧巻でした。さらに舞台上に設置されていた照明も、美嘉ちゃんへのスポットライトを幾種類か効果的につかい分けていました。会場の装置を総動員して、ここまで徹底して凝るのというくらいの、そしていかにも「これぞプロ」という照明でした。

演出に凝るのは彼女のコンサートの常なのでしょう。2007年のツアーとの共通点はクラシックバレーのダンサーをつかったところでした。前はモダンダンスの踊り手が2人入っていたのが、今回はすべてクラシックバレーの踊り手に統一されていました。また道化師が入ったのは新しい演出でした。紗の幕をつかうというのは2007年でもあったのですが、今回はそれが頻繁につかわれていました。その幕へのCGの映像の投射にも、いろいろな工夫が凝らされていました。

今回のツアーと2007年のそれとのいちばんの違いは演出コンセプトなのではないでしょうか。2007年のものは幻想性、神秘性をつよく全面に押し出すという演出コンセプトだったように思います。2007年のコンサートでの冒頭では、美嘉ちゃんを模した球体関節人形を背景に映し出す演出法がとられていました。舞台上におかれた人形にも彼女の好みが反映しているように思いました。全体的に幻想的なポップアップ絵本をみているような印象を観客に抱かせるものでした。一方今回のものは、もっとアクティブな、アグレッシブな演出法でした。「中島美嘉ツアープロジェクト」というのがあって、そこで練りに練った「物語」を創出し舞台に乗せているのでしょうが、おそらく意図的に「中島美嘉の復活」をアピールする演出が考えだされたのだと思います。だからただ舞台に置かれているだけの人形が実際に演技し動き回る道化に取って代わったのでしょう。

また、東日本大震災への思いもあったと思われます。震災復興と彼女自身の復活をアピールするため「All Hands Together」が冒頭にきたのでしょうね。ハリケーン・カトリーナ直後のニューオーリンズを彼女は訪問していますから。そしてニューオーリンズ・マルディグラにつきものといえば道化師ですものね。今回のツアーでそれが意識的につかわれたのでしょう。

演出法の転換をひとことでいうなら、「静」から「動」へということでしょうか。彼女自身の歌手/演技者としての設定にもそれはあらわれていました。「素」ではなく「演じる中島美嘉」がそこにいました。もちろんそれは選曲にも及んでいました。「えっ、美嘉ちゃんってこんなにロックが好きだったの?」というくらい、中盤はロック系で固められていました。やっとおなじみのバラード曲が出てきても、フルコーラスを歌わずメドレーになっています。やっとバラードと思ったら、最近の曲ばかりでした。ただ、私個人としては以前のままの美嘉ちゃんを期待していたので、すこしはぐらかされた感じは否めませんでした。

「最後」の曲は「雪の華」でしたが、アンコールに応えての曲は最新曲の「Dear」ともちろん!「A Miracle for You」。彼女が耳の病気で活動を休止しているとき、ファンがこの曲を歌ってくれたんだそうです。客席を見渡すと、多くの人が泣いていました。

やはり中島美嘉といえばバラードですし、そこに彼女の真骨頂があるという思いは変わりません。それは今回のコンサートを聴いても確認できました。

以下チラシに載っていた画像です。コンサートPRサイトにもあるものですが。髪を切って再出発に賭けた(翔た)イメージです。