yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

劇団花吹雪@朝日劇場 5月8日

お芝居は『三島と弁天』でした。

弁天小僧菊之助(真之輔さん)とその仲間十三郎(恵介さん)は、三千石の旗本、三島の殿様(春之丞さん)から50両せしめようと謀る。弁天小僧菊之助が大店の伊勢屋の娘というふれこみで「女中」として屋敷にあがり、殿様の好色につけこんでたぶらかそうというのだ。

屋敷にやってきた菊之助。案の定、殿様は女装の菊之助にぞっこんとなる。三島の殿様がでれでれしているところに、伊勢屋からといって十三郎が手紙を持ってくる。それには店が50両ないとつぶれてしまうとあった。それを聞いた三島の殿様、よろこんで50両を用立ててやる。

ところがそこに十手持ち(京之介さん)がやってきて、娘は実は弁天小僧菊之助という盗賊だと告げる。変装がバレたと分かった菊之助、ここで例の弁天小僧のつらね (「浜の真砂云々」)をいう。ここの真之輔さん、台詞完璧でした。朗々と気持ちよかった。頑張ってますね、真ちゃん!

菊之助は殿様が神社に詣でた際、老婆を斬り殺した現場を目撃したといって、殿様を脅す。おまけに口止め料としてもう50両よこせとすごむ。殿様は仕方なくもう50両を渡し、菊之助を逃がしてやる。そのとき菊之助が落としたお守りを十手持ちが拾う。そこで意味深な思い入れ。

殿様とその家来、そして十手持ちは屋敷を出た菊之助を追って山里にやってくる。ここでついに菊之助は十手持ちにお縄になりそうになる。が、意外な展開に。十手持ちは菊之助に落としたお守りと自身が肌身離さずもっていたそれにそっくりなお守りをみせ、菊之助こそ自分が稚児院に捨てた息子だという。疑心暗鬼の菊之助に彼を捨てた事情とその後探し続けたことを訴える。ここで親子の名乗りをするのだが、菊之助は十手持ちの父の手によってお縄になりたいという。泣く泣く息子に縄をかける十手持ち。

ところが一部始終をみていた三島の殿様、その縄を刀で断つ。そして弁天小僧に逃げるようにいう。親子の再会に感動したと同時に自分の今までの行いを恥じ、後悔していたのだ。せめてもの罪滅ぼしに菊之助を逃がしてやる。

前半は弁天小僧の正体暴露の喜劇でした。そこに生き別れた親子の対面という人情劇が絡むという二段構えの構造になっています。このあとの人情劇はそれ単独でも芝居として成立してしまいますから、むしろなくてもよかったのではないかと思いました。

殿様の好色ぶりと弁天小僧をはさんでの奥女中二人(あきなさん、かおりさん)の恋の鞘当て的三角、いや四角関係で十分面白いですし、芝居としてもまとまっていますから、これに集中した方が芝居としての完成度が高くなるのではないでしょうか。

第3部舞踊ショーのハイライト

春之丞:女形  「湯の花小唄」 芸者姿があでやかで、かわいかった
春之丞:立ち  「りんご追分」 グレーの着物に袴。張りつめた舞姿が凛々しく美しかった
真之輔・愛之介・松ノ介:立ち  「Battle without Honor」この曲で着物の舞踊、なんと実験的な!

ラストは股旅の群舞だったのですが、今までにみたことのない斬新さでした。特に音楽!何曲かで構成されていましたので、iPhone のアプリで必死に探しましたが、分かったのは1曲のみ。それは「Uomo Innamorato」。これを股旅に組み合わせるという斬新さ!

花吹雪のさまざまな実験、その現状に甘んじない探究心、すばらしいです。