もとの原題は"Wael Ghonim: Inside the Egyptian revolution."
Google社マーケティング・マネージャーのWael Ghonim氏が、エジプトのカイロで行なった講演の動画が、3月はじめ、カリフォルニア州ロングビーチで開催されたTED会議の参加者に対して公開された。その後インターネット上でも動画が公開された。TEDについては以前の記事(http://d.hatena.ne.jp/yoshiepen/20110207)で言及しているので、割愛する。
以下が約10分弱にわたるTEDでの講演の内容である。
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エジプトでは人々は数十年にわたる独裁政権下で貧困、汚職、そして言論の自由のない国になっていたけど、それにもかかわらず人々はまるで麻痺したかのように行動を起こさなかった。それは恐怖のため心理的に自己保全をはかるバリアがかかっていたからだ。
そこへ登場したのがインターネットであり技術革新だった。Youtube, Twitter, Facebook等のメディアが人々に自分だけが不満をもっているのではなく、みんながそうであることを認識させた。それが自由への希求となってほとばしり出た。今まで虐げられてきた人々にこれらのメディアが発言の機会を与えた。ちょうどWikipedia を多くの人が百科事典をつくりあげるようなものである。一人一人の貢献は小さくても、それらが集まるとすごい力になりうる。
Khaled Said氏が亡くなったとき、政府の拷問によるものだったことを、これらのメディアを通して、人々が知った。反体制派のひとびとが結束するきっかけを彼の死がもたらした。その一つが私が、「われわれはみなハーリド・サイードだ」(We Are All Khaled Said)といって匿名で立ち上げたFacebookページだった。すぐに何千人もの人々がサインアップした。
エジプトにチュニジアに端を発した反体制の運動が流れ込んだとき私はこのFacebookページに、1月25日を抗議の日にするという呼びかけを匿名投稿した。抗議運動は1月25日をすぎても続いた。いままでは体制に抗議することを非現実的だと思ってきた人たちが現実の者として考え始めた画期的な出来事だった。
とうとう私は当局に逮捕され収監された。
12日後に釈放され、タハリール広場に立ったとき、多くの群衆が集結し様子を目にして、私は自分の目を疑った。人々はエンパワーされて自分の力を信じるようになっていた。尊厳をとりもどしていた。そしてなによりも夢を持つようになっていた。
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エジプトの「無血革命」の中心人物の公演を早速放映するというのはさすがTEDである。テレビ、新聞のような大きなメディアではなく、TED Talksのようなマイナーなサイトに登録され、簡単に視聴できるということがなによりも画期的です。
この講演者のWael GhonimさんはGoogleのマーケティング・マネージャーであるところからも、おそらく英米で大学院のそれも博士課程まで修了した人だとおもわれる。彼のようなインテリに先導されて、エジプトの革命は成功したのだ。
もう一つ感銘を受けたのが「ドリーム」という語である。「夢の実現」なんて、日本で口にしようものなら、「おめでたいよ。どうすれば夢なんてもの、もてるようになるの」なんていう小馬鹿にした反応があるのがおちである。それを「夢」という語を全面に押し出してアピールしようとするところ、まるでキング牧師もどきで、こちらまでエンパワーされます。