yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

芝居『若き日の小鉄』伍代孝雄劇団@朝日劇場 1月27日夜

ミニショーは身損ねて、お芝居からです。『若き日の小鉄』でした。これは以前他の劇団でも観たことがあります。人気のある演目なんでしょうね。内容は少しづつ違っていますが。

<芝居>
会津藩中間部屋の小鉄は京都で男の中の男との評判をとる若い侠客である。しかし、博打場で年かさの侠客、名張屋新造に「小僧っ子」とバカにされる。怒った小鉄は新造に喧嘩状を叩き付けて、妙法寺境内で彼を待つ。そこへ彼が昔兄弟契りを結んだ新太郎が助っ人としてやってくる。一旦はそれを断る小鉄だが、新太郎が兄弟の仲で水臭いというので、断りきれない。

喧嘩場にやってきた新造、小鉄が新太郎といるのを見て、「一人という約束じゃなかったのか」とあざ笑う。新太郎が切り掛かるが、一刀のもとに斬り殺される。小鉄も切り掛かるが、刀を落とされる始末である。観念した小鉄は新造に命をとるように言う。一旦は刀を振り下ろそうとした新造だが、なぜがそれをやめ、小鉄の小指を切り取っただけでその場を立ち去る。「悔しかったらまた出直してこい。相手になってやる」との言葉を残して。

小鉄の家では盲目の女房、お吉が彼の帰りを待っている。そこへ会津部屋の小鉄の兄貴分の銀次がやってきて、小鉄に話があるという。小鉄が帰ってくるが、小鉄はお吉に酒を買いに出し、銀次の「小鉄ともあろう男が新造に弟分を斬られながら、おめおめと帰ってきたのは、一体銅いう了簡だ」と、非難される。小鉄は恥を忍んで帰ってきたのは、盲目の女房のことが気がかりだったからだと言う。

銀次が帰ったあと、お吉が帰ってきて、小鉄にことの真相を糾す。そして男として、再度新造に殴り込みをかけるべきだと言う。そして、かねてから自ら縫って準備がしていた「南無妙法蓮華経」と背中に書いた白装束を小鉄に示す。小鉄はその衣装に身を包み、新造のもとへと出向こうとする。そのとき、お吉は胸に短刀を突きつけて、自害する。「私がいると心残りになるだろう。これで思う存分闘っておくんなさい」の言葉を遺して。

新造に殴り込みをかけた小鉄。彼の手下に邪魔される。新造は手下を制した上で、小鉄と闘い、致命傷を負う。そのとき、彼は小鉄を褒める。弟分の報復にきたのはあっぱれだと。虫の息の下で、新造は小鉄にその本名が仙吉ではなかったかと聞く。「そうだ」と答える小鉄に新造は彼こそが自分が行き違いになり長い間探してきていた息子だと告げる。信じない小鉄。しかし新造の身の上話を聞いて、彼の話を信じるようになる。

新造は組の若い者たちにこれからは組を小鉄に譲ることを宣言する。そして息を引き取る。


なによりも、諒さんのお吉、最高でした。女房の夫に対する情の細やかさをここまで出せる役者さんはそうざらにはいないでしょうね。酒を小鉄に示して、「おまえさん、のむかい」という台詞、思い出してもぞくぞくします。声の抑揚のつけかた、まさに神業でした!

座長の新造、安定感がありました。絶命する前に長台詞があるのですが、それもうつむいた状態ですので苦しいのでしょうが(座長さんも口上の折に大変だとおっしゃっていました)呼吸法ができておられるのでしょう、明瞭で説得力がありました。

一也さんの小鉄、まだ青年っぽさがぬけない小鉄を演じられて、はまり役でした。諒さんが姉さん女房をこれ以上ないほど完璧に演じられたので、彼はそれにひたすらついてゆく若い旦那さんという役どころ、ぴったりでした。

<舞踊ショー>
群舞       酒じんじん
つかさ      ?
瑞穂       まだ君に恋してる
諒 歌      役者
座長       暖簾
一也       あなたを口説きたい
座長 歌     再会ブルース
美明       偽りの花園
諒        長崎ぶらぶら節
恵介       男おけさ
座長、一也    四人花魁
瑞穂、信之 

花魁。あの重たい衣装に鬘で座長はウルトラ級の大業、後ろ反り返りをやられました!首、大丈夫だったでしょうか。観客は大喜びでしたけれど。