『週刊ダイヤモンド』はいつもタイムリーな特集を組む。でも今回のそれはずっと以前から池田信夫さん等が指摘していた事実に過ぎないけど。『新聞・テレビ、勝者なき消耗戦」がそのタイトルである。
2週間ほど前には新聞スタンドに置いてある『日経ヴェリタス』のヘッドラインが目をひいた。SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)特集だった。「あー、日本もこの線をまっしぐらだろう」と思ったものである。今のところ日本ではfacebookの会員はアメリカを初めとする他国に比べても少ない。匿名ではなく、自分のアイデンティティを明らかにすることに抵抗があるためだろう。日本人は匿名性を好む傾向があるから。
でもfacebookはいまや世界を席巻している。創始者のマーク・ザッカーバーグは時代の寵児となり、彼の映画まで作られている。
でもいずれ日本もアメリカを追いかけるだろう。例えばネットテレビ。インターネットとテレビとが合体したものというだけではない。視聴者がネットを通してみたい番組を選ぶことができるというイントラアクティブな形を採っていて、アメリカでは急速に普及しているという。値段も非常にリーズナブルである。
そういう場合、日本でネックになるのが電波権等の法律だと、池田信夫さんが以前に言っていた。テレビ局を守ってきたのがその法律だから。でも一旦始まった流れに逆らうのは困難だろう。そうなると、高額な年俸を誇ってきたテレビ局のスタッフは抵抗するに違いない。
『週刊ダイヤモンド』が特集していたのは、ここ数年でテレビの各局、新聞が今までのシステムに固執するがあまり、そして成功体験があるがため、新しい波に乗り遅れ衰退の一途をたどっている現実だった。思えばほりえもんがテレビ局を買収し、失敗したのは、彼にとってよかったのかもしれない。いまやテレビ局には魅力はない。新しいメディアの時代がきて、旧メディアにとって替わりつつあるから。もし買っていたら、今頃重荷になっていたと想像される。