12月2日のニュースで知りました。しばし懐旧の情に浸りました。
歌舞伎座に毎月行っていた頃、関西からやってきて下車した駅がJR有楽町でした。そこから歩いて歌舞伎座に行くのですが、そのときにかならず西武百貨店のビルを通り抜けてゆきます。中が吹き抜けになっていて通り抜けできるので便利でした。歌舞伎公演まで時間があるときには、デパートの中に入ってぶらぶらしたこともあります。
銀座まで行くと三越、松屋、松坂屋などデパートがあるので、西武で買い物をすることはありませんでしたが、それらの百貨店と西武とはコンセプトが違うなとは感じました。客も幾分少なくて、こんな一等地で大丈夫なのかと思ったりしました。
そういえば、アメリカから帰ってきて最初に歌舞伎座に出かけたときに、有楽町駅をはさんで西武と反対側にあったそごうがなくなってしまっていたのにもびっくりしました。そごうにも何度か入りましたが、やっぱり客数が少なくて驚いた記憶があります。内装も銀座のデパート群に比べると古い印象が否めませんでした。
有楽町界隈と銀座界隈の雰囲気の違いというのを、このときに知りました。有楽町から地上をずっと歩いて歌舞伎座に行くと、あるところを境にして変わっていっているのが分かりました。東京の友人と待ち合わせる場合でも、「有楽町で」ということはなくて、「銀座三越前で」ということになっていたので、どうも有楽町は素通りされる場所だったのかもしれません。地下鉄の銀座駅はいくつもの路線が交わっているから便利で、結局この駅から有楽町方面へと足を向ける必要がないわけです。
それに銀座はなんといっても「銀座」で、人が集まる要素をすべて備えています。アメリカからの友人を歌舞伎に案内した折にも、銀座三越の食料品売り場に連れてゆきました。大喜びでした。そこからあえて有楽町に行くという必然がないですものね。そういえば丁度そのちょっと前にスタバの日本一号店が銀座に出店したところだったので、そこでコーヒーを飲みましたが、アメリカ資本がこんなところまで進出していると、これまたご機嫌でした。
「銀座」というブランドと対抗しうるだけのブランド力を「有楽町」がもち得なかった結果での、西武やそごうの閉店だったのでしょうね。ブランドをいかに醸成するかというのが、いわゆる「まちおこし」とよばれるプロジェクトには必須条件なのかもしれません。