yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

半能『賀茂』in「能楽チャリティ公演 ~被災地復興、京都からの祈り~」@ ロームシアター京都サウスホール8月29日 第二部

若手がうち揃った清新な舞台だった。「銕仙会」の能楽事典に、「夏も終わりが近づき、涼しい風が吹きはじめる頃。清く澄んだ御手洗川の流れは、暑い日ざしの中にあって、爽やかで涼しげな風情をたたえている。稔りの秋は、すぐそこまで近づいている…」という曲解説があったけれど、まさにそんな風情。清く澄んだ」、「爽やか」、「涼しげ」といった形容が隅々にまで行き渡る舞台になっていた。

演者一覧は以下。

シテ(里女・別雷神) 深野貴彦

シテツレ(天女)   樹下千慧

 

ワキ(室明神の神職) 有松遼一  

ワキツレ(従者)   小林努 
笛          左鴻泰弘 

小鼓         曽和鼓堂 

大鼓         井林久登

太鼓         前川光範

「銕仙会」の能楽事典からお借りした概要が以下。

播磨国 室明神の神職たち(ワキ・ワキツレ)が下鴨神社へ参詣すると、御手洗川の川辺に真新しい祭壇が築かれ、白羽の矢が祀られていた。そこへ水汲みの女たち(前シテ・前ツレ)が現れ、一行に矢の謂われを語る。実はこの矢こそ、上賀茂の祭神・別雷神の姿。そして昔この矢を拾った水汲みの女は別雷神の子を宿し、下鴨の祭神・御祖明神となったのであった。そんな故事を語り終えた女たちは、川の風情を讃えつつ神に捧げる水を汲んでいたが、やがて自分たちが神の化身であることを明かすと、姿を消してしまう。

その夜、御祖明神(後ツレ)が一行の眼前に現れると、この世に生きる人々へ神の恵みを施し、祝福の舞を舞いはじめる。するとそこへ、今度は上賀茂の方から別雷神(後シテ)が来臨し、恵みの雨を降らせて豊饒の秋をもたらすのだった。 

シテの深野貴彦師がシテを演じられるのを初めて拝見した。謡が朗々と力強い。また舞の所作に勢いがあり、こちらに迫ってくる感じ。見ていて、理由もなくうれしくなった。シテツレの樹下千慧師もいかにも若々しく、謡、舞ともに綺麗だった。

ワキの有松遼一師、小林努師のお二方は、ここ数ヶ月の間、月2以上拝見している。お二方共にイケメンで直面にふさわしい(?)。安定感が抜群。 

お囃子に前川光範師が出ておられたのがうれしくて、終始ニマニマしていた。前方席だったので、あの「ほおーっ!」という掛け声と力強いバチの音が怒涛のごとく迫ってきた。

「半能」だったので、あっという間に終わってしまったけれど、この余韻がある感じが素敵だった。能初心者にはこういうアプローチがあってもいいのではと思った。「能は退屈」という偏見を砕いてくれるから。

『賀茂』は今年5月に、梅田嘉宏師シテ、鷲尾世志子シテツレで見て記事にしている。こちらも若々しい舞台だった。