yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

観世流能『平安』 in 「第70回平安神宮薪能公演 6月1日」NHK eテレ録画

大正天皇の即位式のために創られた『大典』を、故片山幽雪師が今の時代にあった『平安』に改作されたのだという。非常に美しい詞章で、しかもテーマが今の時代を生きる私たちとその平安を祈念、また寿ぐ内容になっている。

 

先に引用させていただいた日経デジタル記事の『平安』解説が以下である。

■天女4人に増員

勅使が平安神宮に参詣すると、天女が現れて舞を舞い、続いて天つ神が現れて新しい時代を祝福する神舞を舞う。新天皇の即位を祝う「大典」は即位の礼の年のみに上演が限られるのに対し、「平安」は日本の繁栄や世界平和を願う内容で、上演機会も柔軟だ。シテを勤める井上理事長は「新しい曲は時代に合った演じ方が許される」といい、詞章のなかに「令和」の文言を盛り込み、通常は1~2人の天女を4人に増やして華やかさを増すと話す。

 

演者は以下の方々。

シテ 天つ神     井上裕久

ツレ 天女      浅井通昭

   天女      吉田篤史      

   天女      松井美樹  

   天女      鷲尾世志子

ワキ 勅使      原 大

ツレ 従者      岡 充

ツレ 従者      原 陸

 

笛          杉信太朗

小鼓         林 大和

大鼓         谷口正壽

太鼓         前川光範

 

後見         片山九郎右衛門 牧野和夫 吉浪壽晃

 

地謡         浦田保浩 深野貴彦 河村博重 

           橋本忠樹 浦田保親 大江泰正

 

まだ日があったので、背景になっている神殿の美しさが冴えていた。詞章もそれを歌い上げたもの。ことば及び色の対比がビジュアルで冴え渡っている。

見渡せば砂の広清しくて

太極殿の太柱

 

西狐の両楼あり

に金色の鵄尾輝き

 

さながら平安の昔偲ばれて

感涙肝に銘ずるばかりなり 

平安神宮の美しい神殿がそのまま詞章になっていて、それを目で追いながら鑑賞できるという贅沢。その場に味わえなかったのが悔やまれる。

まず、男性二人、女性二人の演者が演じる四人の天女(巫女)が登場するのだけれど、なんとも初々しい感じがする。のどかな平安朝の宴がその場に展開しているような錯覚を覚える。

そして、いよいよ真打の天つ神の登場。非常に優雅。天女を緩やかに束ねる感じがいかにも平安の世。あくまでものどかでおおらか。それをサポートするお囃子もその雰囲気を盛り立てる。演者が若(々し)いのが、新しい御代を寿ぐのにぴったりである。清新さが際立つ。

こののどかさのうちに終わるのだけれど、そのあとも余韻が辺りにほんのり漂う。今までに見てきた能の番組とは明らかに違っていた。神に捧げるという演者さんたちの意識とそれを見守る神官、観客の想いが一つになった感じが強くした。