yoshiepen’s journal

さまざまな領野が摩擦しあい、融合し、発展するこの今のこの革命的な波に身を任せ、純な目と心をもって、わくわくしながら毎日を生きていたいと願っています。

能楽養成会主催の「第49回東西合同研究発表会」@大槻能楽堂8月28日

毎年一回「東西合同研究発表会」は開催されてきたとのこと。ということは、49年にわたる歴史があるということなんですね。観世、宝生、金剛、金春、喜多の五流の若手能楽師の方々の発表の場。国立能楽堂サイトに番組表(プログラム)のリンク先がアップされている。

www.ntj.jac.go.jp

 

11時少し前に能楽堂に入ったのだけれど、そのときは人はまばらだった。ただ、後半になるにつれて増えていった。よかったのは、普段聞き慣れている観世流の演者さんたち。というわけで、観世流のもののみ、感想を。

最初の舞囃子「高砂」を舞われた大江広祐師はすでに能のシテをはられるほどの方なので、「高砂」も見事でした。お囃子がこれまた、すごい面々。太鼓の前川光範師、笛の杉信太朗師はもう大御所といっても良いほどの実力のある方々。大鼓の河村裕一郎さんは河村一族のご出身だろう。そこに一人小さな小鼓方が。吉阪一郎師のご子息、倫平君。何度か拝見しているので、めっぽううまい打ち手なのはわかっていたけれど、それでも新たに感激した。

能の「杜若」は樹下千慧さんがシテ。地謡方で出られるのはもちろん、研修能でシテを演じられたのは一度見ている。その時より、腕をあげらたように感じた。特に謡部分。どっしり感が備わるようになっていた。片山九郎右衛門師が後見をされていたので、お弟子さんなんだろうと思った。地謡方の河村浩太郎、大江広祐、河村晃、梅田嘉宏、橋下忠樹、大江信行の各師は先日の「チャリティ能」でも拝見した。京都観世の能楽師さんたちで、(勝手に)親戚になったような親しみを感じている。お囃子も良かった。成田奏さんは成田達志師の、河村凛太郎さんは河村大さんのご子息だろう。それぞれ力強い演奏があっぱれだった

仕舞「善界」の地謡方、三人の謡が見事に揃っていた上、張りと奥行きがあって素晴らしかった。寺沢拓海、大槻裕一、笠田祐樹のお三方。笠田祐樹さんは夙川の能舞台で独吟を聞いたことがあり、その力強さと正確さに驚嘆したものだった。

舞囃子の「玄象」を舞われた浦田親良さんは浦田保親師のご長男。22歳。型が崩れないで、非常に綺麗。切れもある。ふだん単独で拝見することがないので、こういう機会に「うまい!」ってわかる。

最後を締めたのが観世流の能「熊坂」。これ、来月、片山九郎右衛門師シテで見ることになっている。この日のシテは寺沢拓海さん。動きが敏捷でパワーがあった。大鼓の山本寿弥さんの演奏は何度も聞いているので、うまいのはわかっていた。山本哲也さんのご子息。小鼓の清水和音さんは(おそらく)大倉源次郎師のお弟子さん。というのも、大倉源次郎師、この能を最後列でご覧になっていたから。

そういえば、大槻文蔵師は開演前にロビーで拝見しているし、小鼓方の亀井広忠師も会場でお見かけしている。お囃子方では、ご子息たちが演奏されるときに、後見としてお父上たちが付かれていた。

観世流はここ一年半ばかり頻繁に見てきているので、お師匠さんの顔は判別できるけれど、他の流派では無理。おそらく他流でもお師匠さんたちがいらっしゃっていたはず。非常に力の入った舞台になっていたのは、それもあったのかもしれない。

一つ驚いたこと。金春流の舞囃子「安宅」を金春飛翔さんが舞われたのだけれど、地謡方がすべて女性!それも甲高い声ではなく、しっかりした野太いもので、感心した。

 この見応えのある公演が無料なんですよ。ありがたくも、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。